もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション漏水原因 管理組合 劣化検査 給湯管老朽化
公開日:2023/06/26

マンションの漏水事故は、住民の日常生活を滞らせるだけではなく、経済的にも精神的にも大きな影響を与えます。特に隣人との関係性においては、問題が複雑になり居住環境が悪化する問題になりますので、事故が起きる前にマンション全体で「予防」のための対策が課題となります。
目次
◯マンション漏水には2つの場所と3つの原因がある
◯水道管の事故は自己責任なのか?
◯トラブル前の調査と補修工事が大事
今週のもっと知りタイム
管理組合の役割を再認識しましょう
マンション漏水には2つの場所と3つの原因がある
水漏れが起きる場所は「専有部」か「共有部」か?
マンションの水漏れ事故が発覚して問題となるケースのほとんどが住民の部屋であり、上の階の配管の不具合が原因となり下の部屋に症状が出るケースが多いと言えます。つまり、被害を受ける方も原因を作る方も「専有部」の問題となりますので、基本的には当事者同士が解決をしなくてはなりません。
しかし、マンションの水道設備は専有部と共有部が複雑に配管されており、事故の内容によっては 「共有部」の配管も間接的な原因となるケースもあります。たとえば「給水方式の変更」により水圧が上がり、老朽化した専有部から漏水や赤水の現象がでるなど、マンション全体の問題として考えなくてはならない場合もあります。
基本的な原因は3つある
事故発生の直接的な原因としては大きくわけ3つあります。まず水の出しっぱなしや配管詰まりなどの「住民」に問題があるケース。 次にトイレやキッチンなどの「工事業者」に起因するケース。そして最後は、設備の「経年劣 化」が原因で起きる漏水などが考えられます。
マンション水道管のトラブルは「自己」責任なのか?
まずは客観的に原因を明確にして当事者同士の理解を進めることが大切
漏水事故は家具の破損のような実害だけではなく、メンタルの面でも気持ちの良いものではありません。さらに上下階に住む住人同士のトラブルとなると、感情的なことも含めてデリケートな対 応をしなくてはいけません。
住民の不注意や工事業者のミスなど明確な原因があれば責任の所在は明らかになりますので、対応は比較的取りやすいと思いますが、例えばマンションの水道設備の経年劣化が間接的に関わっている場合など、専門的な知識や判断が必要な時はどうすればよいのでしょうか?
マンション漏水事故の多くを占める意外な原因とは?
一般的にあまり知られてはいないのですが、実は意外なことにマンション漏水事故の9割以上は 「給湯管の劣化」という報告があるのです。給湯管は2000年以前まで「銅管」が主に使用されて いたのですが、水流で発生する「気泡」が曲部にぶつかることでピンホールをあける「経年劣化」 が原因で漏水事故に至るケースが多く報告されています。
基本的に「給湯管」は専有部の設備となりますので、残念ながら漏水の原因が専有部の給湯管の老朽化による穴や亀裂が原因であれば、やはり個人宅同士の問題になります。
しかし事故がたまたま1か所で発生したとしても、他の部屋でも設備自体は新築当時のものをそのまま使っているとすれば同じように老朽化が進んでいるため、次はどこの部屋で事故が起きるか分からない状況となります。当事者以外の住民にとっても「他人事ではなくなる」のです。
トラブル前の調査と補修工事が大事
設備の老朽化は見えないところで進行している
水道設備に限りませんがマンションなどの集合住宅では、躯体や設備は多くの部分を共有しておりますし、使用頻度による多少の差はありますがどの部屋でも同じように老朽化をしていきます。ただ外壁などは、「ヒビ・割れ目」など 見た目でも老朽化はある程度判断できますが、水道設備は劣化の状態を直接目にすることができない分、状況の把握が後回しになりやすいことは考えておくべきでしょう。
★★★もっと知りタイム★★★
管理組合の役割を再認識しましょう


このようにマンションには所有権などの権利関係があるため、漏水事故が発覚して対応を迫られる
のは基本的に住民個人になってしまいますが、やはり事故が起きる前にマンション全体での防止策への取り組みが大切になってきます。
「水道設備は、見えないところで劣化が進行する」ことを前提に、できるだけ個人に負担が集中しないように管理組合が「調査」「点検」「補修」「保険加入」の施策を計画的に実行しましょう。
漏水事故を防ぐための調査は、水道メーター周りの「抜管調査」「耐圧試験」「内視鏡調査」など
様々ありますが、築年数や設備の状況に合わせて、専門業者に相談をしながら管理組合主導で「事故が起きる前に手を打つ」ことが重要です。
そのためには、管理組合と設備工事の業者とは、老朽化が進んでしまい事故やトラブルがある前から情報交換などのコミュニケーションを密にとり、いい関係性を築いておくことが「問題が発生した時」にスムーズに対応でき、トラブルを最小限に抑えることができます。
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