もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション排水設備 排水桝 工事提案書 見積り内容の精査
公開日:2023/07/16

排水設備のなかでも「外部排水溝」や「排水桝」は、生活用水を処理するための重要な設備にもかかわらず、地中に埋まっていて目に見えないため「劣化」の確認ができません。
また老朽化による修繕や更新工事は、工事施工会社の「技術力」や「提案力」に差があり、結果としてコストも大きな開きが出るケースもあります。
発注側も仕組みや工事内容を理解して、工事業者を評価したり見積りを精査できる力を持ち、信頼できる会社に依頼しましょう。
目次
◯普段目に見えない「排水桝」はどんな役割をしているの?
◯排水桝の老朽化によりマンションの住環境が悪化するって本当?
◯「排水桝」の老朽化調査は必要?
今週のもっと知りタイム
事例に学ぶ!見積りに大きな差が出る「工事提案書」とは?
普段目に見えない「排水桝」はどんな役割をしているの?
排水桝には目的により種類がある
通常マンション敷地内で「排水桝(ハイスイマス)」と呼ばれている設備は、汚水を流す場合に固形汚物が管に詰らないように点検や清掃をする目的で、要所に設置されている「桝」のことを指します。公共の設備でいう「マンホール」と同じ役割をしています。また排水管から敷地外の「公共排」への接続形態には、「分離」する方式と「合流」させる方式があり、地域により異なります。
「排水桝」には、その機能の違いで何種類かの呼び方があります。大きく分けると、トイレやキッチンからの汚水を扱うものを「汚水桝」、雨水を敷地内で集める桝を「雨水桝」と呼び、「雨水桝」には、地面に浸み込む「浸透式」と下水道へ流す「非浸透式」があります。
排水トラップとは「機能」が異なる
また「排水桝」とは別に、汚水を水分と固形物に分離し、水分だけを排水管に流して「つまりを防ぐ」目的の「溜桝」または「トラップ桝」と呼ばれるものが設置されている場合があります。
これは悪臭や害虫などを防ぐ目的の設備で、水に溶けにくい「ゴミ」を流す飲食店などの排水設備に使われています。
排水桝の老朽化によりマンションの住環境が悪化するって本当?
老朽化によりおこる桝の「ひび割れ」や、「地盤の沈下」による排水管の適正な勾配が保持されず流れが悪くなるなどさまざまな問題が起こります。
「汚水桝」の清掃メンテナンス怠ると、マンション内ではトイレの水の流れが悪くなったり排水桝から汚水があふれる問題が起きるだけでなく、マンション敷地周辺にも「悪臭」「害虫」等で迷惑がかかる大きなトラブルとなることもあります。
「排水桝」の老朽化調査は必要?
「排水桝」の素材は、近年では軽くて施工しやすい寿命50年以上の塩ビ製が多く使われるようになりましたが、築20年以上のマンションでは、寿命が12〜15年のコンクリート製のものが主流で使われています。「老朽化調査」は、主にこのコンクリート製の汚水桝で行います。
調査は1か所ずつ「排水桝」を開けて、経験のある専門業者が「ひび割れ」「継ぎ目」「沈下」等を目視で行います。また、配管の高低レベルを計測する機械を使い適正な勾配が保たれているかを調べることもあります。
ひび割れを放置していると汚水が地中に染み出しますし、勾配が変わることで汚物が流れなくなり、排水詰まりの原因となりますので、清掃と調査は定期的に行うと良いでしょう。
★外部排水桝工事の事例
★★★もっと知りタイム★★★
事例に学ぶ!見積りに大きな差が出る「工事提案書」とは?


「排水桝」の劣化に伴う工事は大掛かりな土木工事が必要となることも多く、予算も多額になります。同じマンションの同じ状況の現場でも、施工会社の「技術力」と「工事提案力」により「外部排水設備工事」の見積りに大きな差がでることはよくあります。
次のケースは、ある現場の事例です。
マンション管理会社から依頼を受けた施工会社A社が現場を調査した結果、排水桝を含めた外部排水溝が全体的に劣化しており、敷地正前の道路に新しく「公設桝」を設置して、設備全体をリニューアルする工事が提案されました。
敷地内だけではなく、公共の道路を掘り返して公設桝をする大きな工事計画で、予算も数百万円の見積りとなりました。
そこで管理組合はセカンドオピニオンとして、新しく別の工事会社B社に調査・見積りを依頼した結果、公設桝は必要なく、現状の排水設備を細かく補修・調整していくことで問題は解決できると提案されました。また見積りも、A社より百万単位で安く工事できるとの回答をもらうことができました。
提案内容を精査した結果、最終的にB社に決定。費用対効果の高い改修工事をすることができました。施工会社の「現場調査の精度」や「工事の企画提案力」に大きな差がでた事例と言えるでしょう。
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