もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション給水設備更新の時期 水道工事の適正価格 住民のコンセンサス 一歩進んだ水道工事
公開日:2025/05/31

マンションの水道設備(とりわけ「給水設備」)は、居住者の生活に直結するインフラであり、建物の中でも特に重要な設備の一つです。
マンションにより様々な給水方式が採用されており、築年数と劣化状態に応じた更新工事が必要となります。目に見えない設備であるため、トラブルが発生するまでは放置されがちですが、漏水事故や断水トラブルが起きた後では緊急対応となり、結果として費用や住民への影響も大きくなります。
したがって、管理組合としては、建物の長寿命化や資産価値維持の観点からも、給水設備の更新は計画的に進めるべきです。
目次
◯給水設備更新の時期はどのように見極めればよいの?
◯更新の予算はどうのようにして決めるの?
◯住民とのコンセンサスを取るためにはどうするの?
今週のもっと知りタイム
20年先を考えた水道設備の更新とは?
給水設備更新の時期はどのように見極めればよいの?
給水設備の更新時期を見極めるうえで、最も基本的なのは「築年数」と「劣化状況」の確認です。
一般的にポンプの耐用年数は15~20年、給水管は素材によって30~40年程度が目安とされていますが、実際の使用環境やメンテナンス状況によって大きく異なります。
たとえば、ポンプの異音や圧力不安定、管内の赤水や漏水などが見られる場合は、設備が限界を迎えつつあるサインです。また、過去の修繕履歴や点検報告書の記録を精査することで、劣化の進行度を把握できます。
また第三者的な立場の業者に依頼して、配管の内視鏡調査や劣化診断などを実施して、「壊れる前に更新する」という意識が重要です。
更新の予算はどうのようにして決めるの?
給水設備の更新には数百万円から数千万円の費用がかかることがあり、管理組合にとっては大きな出費となります。その際重要なポイントは「積立金とのバランスをどう取るか」です。
まずは設備更新に充てられる予算の範囲を明確にしたその上で、更新方式の選定、設備のグレード、配管交換範囲などを決めていきます。
その際、工事内容が妥当か、コストに無駄がないかを第三者に評価してもらう「工事監理」も予算管理には有効でしょう。場合によっては、国や自治体の補助金制度(例えば受水槽撤去支援等)を活用することで、予算圧縮も可能ですので、検討が必要となります。
住民とのコンセンサスを取るためにはどうするの?
給水設備の更新は単独のイベントではなく、建物全体の生活インフラを維持するための工事して捉えることが重要であり、そのことを住民全体の意識としてで共有することが大きなポイントとなるでしょう。
生活に直結する水道設備工事は金額も大きく、住民の関心も高くなります。しかし、専門的で見えにくい分野のため、理解不足による反対意見が出やすいのも事実です。
そのため、理事会・修繕委員会は「なぜ今この工事が必要なのか」「何もしなかった場合のリスクは何か」を、データと実例をもとに分かりやすく伝える必要があります。
住民説明会の開催や、Q&A形式の資料作成などによって「対話の場」を設けることが、円滑な合意形成の鍵となります。また、見積の比較資料や専門家の意見書を提示することで、透明性と信頼性を高める工夫も重要です。
★★★もっと知りタイム★★★
20年先を考えた水道設備の更新とは?


近年の給水設備更新では、「単なる交換」から一歩進んだ省エネ・スマート化の流れも注目されています。
たとえば、インバータ制御付きの省電力ポンプ、漏水検知センサー付きの監視システム、配管内の水質モニタリングなど、テクノロジーを活用した設備が導入され始めています。
これらは初期費用がやや高めですが、長期的にはメンテナンスや電気代の削減につながるケースも多く、国や自治体の補助金対象になる場合もあります。
管理組合としては、将来を見据えた設備選定が求められており、「今後20年先まで考えた更新」を検討する視点も必要となってきますし、仮に最新の設備導入をしなくても、そういった前向きな提案が住民の意識向上にも繋がってくると思われます。
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