もっと知りたい「今週のキーワード」
マンションの情報管理 情報の見える化 管理組合の取り組み 設備維持への住民の参画意識向上
公開日:2025/05/15

少し前の情報になりますが、国土交通省は平成28年に「マンション管理情報の適切な整備・保管・開示に取り組む管理組合事例集」を公開しています。
この事例集の背景には、「管理状況の見える化を進め、居住者の管理に対する意識を高めることが、適切な管理を進めるうえで大きな力となる」との考えがあります。
マンションの情報管理は、意思決定の中心となる理事会だけでなく、住民一人ひとりと共有することが重要です。特に修繕工事の際には、過去の工事履歴の情報が非常に重要になります。
目次
◯マンションの情報の見える化のメリットとは?
◯マンションの情報管理がうまくいくと、管理コストや修繕費用も下がる?
◯マンション管理情報の整備・保管の方法とは?
今週のもっと知りタイム
管理の目的は「効率化」と、その先にある「新しいつながり」
マンションの情報の見える化のメリットとは?
「管理情報の見える化」(適切な保管・管理)のメリットとしては、大きく次の3つあります。
情報を住民全員で共有できていることで、スムーズな意思決定ができる
役員が交代するたびに情報が断絶してしまうと、過去の判断理由や契約経緯が分からなくなります。
情報を見える化して蓄積しておけば、次期役員や管理会社との引継ぎが円滑に行えるだけではなく、居住者の安心感と信頼を高めることにつながります。
建物や設備の工事をする際、履歴が正確に分かることがコスパのいい工事につながる
修繕履歴などの情報が見える形で提示されると、「何に幾らお金が使われたのか」が明確になるだけではなく、新たに取り組む工事の見積依頼や契約交渉でも有利に働きます。
資産価値が向上する
情報管理がうまくいっているマンションでは、購入検討者に対し、「適切に管理されているマンション」という説得力が上がります。中古市場でも高評価を得やすく、資産価値の維持に直結します。
マンションの情報管理が上手くいくと、管理コストや修繕工事費用も下がる?
マンションの情報管理が適切に行われることで、管理コストや修繕費用は実質的に削減できる可能性があります。
まず、管理業務における「無駄」や「ミス」が減少します。過去の契約書、修繕履歴、設備仕様書などが整理されていれば、無駄な手間や外注コストを削減でき、「設備点検の漏れ」などのトラブルも防ぐことができます。
また、情報が住民側に共有・整理されていることで、「管理会社しか情報を持っていないためにコストが高くなる」という構図を回避でき、住民主導で相見積もりを取りやすくなります。それは、図面や過去の施工情報をもとに業者が正確な見積もりを出せることにもつながり、費用の比較検討もしやすくなります。
さらに、建物の実際の劣化状況を反映した現実的な長期修繕計画を立てられるようになるため、突発的な修繕や過剰投資を避け、予算のメリハリを効かせることが可能になります。
マンション管理情報の整備・保管の方法とは?
世帯数や居住者の属性によって最適な方法は異なりますが、基本的には従来の「掲示板」や「お知らせチラシ」といった紙媒体をベースにしながら、少しずつIT化(デジタル化)を進める“ハイブリッド方式が有効です。
最初に取り組むべきは、「どの情報を管理するのかを明確にする」ことです。ジャンル別に整理しておくことで、後の活用がスムーズになります。
保管・共有方法としては、紙媒体とデジタルを組み合わせて運用する形が望ましく、紙ベースの情報もスキャニングしてデジタル化し、バックアップとして保管することが推奨されます。
ただし、デジタル情報の取り扱いには十分な注意が必要です。アクセス権限や編集権限など、管理者の責任範囲を明確にしておくことが重要です。
★★★もっと知りタイム★★★
管理の目的は「効率化」と、その先にある「新しいつながり」


マンション管理情報をIT化することで、単なる効率化だけでなく、住民同士の新しいコミュニケーションや緩やかなつながりを生む可能性があります。
今まで知らなかったマンションの情報が手軽に閲覧できるようになることで、
「マンションの課題」や「進行中の工事」、「他の住民の意見・提案」に興味を持つ住民が増え、関心の芽が「対話」や「参加」へとつながるきっかけになります。
たとえば、「ペット用足洗い場の設置案」や「駐輪場の整備」に関する意見募集がクラウド上で共有されていれば、情報が住民同士の対話の入口となり、共通の関心ごとを持つ住民同士が自然にコミュニティを形成するような動きも期待できます。
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