もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション修繕費のコストダウン 積立金不足 中間マージン 工事業者探し 適正価格
公開日:2025/04/30

築年数を重ねたマンションでは、入居当初には想定していなかったさまざまな課題が表面化してきます。
特に、建物の保全や設備の更新といった生活環境維持にかかるコストは、昨今の経済状況の変化を受け、大幅な見直しが求められているのが現状です。
建築費の高騰に伴い、「修繕積立金」の見直しは避けられませんが、一戸建て住宅と異なり、集合住宅では住民同士の利害関係も絡み合うため、「値上げ金額」の設定が非常に難しい課題となります。
目次
◯修繕工事を管理会社に任せるとコストは上がるのか?
◯管理組合主導で修繕工事の進め方とは?
◯「適正価格」を見極めて工事業者を選ぶポイントは?
今週のもっと知りタイム
修繕工事を「快適な暮らしの再設計」の機会に
修繕工事を管理会社に任せるとコストは上がるのか?
修繕・改修工事は多額の予算と専門的知識を必要とするため、従来は管理会社に一任するケースが一般的でした。
管理組合側の事務負担が軽減され、見積もり取得から工事管理までを一括で任せられるほか、管理会社のネットワークを活かしたスムーズな業者選定が可能になるなど、一定のメリットはあります。
しかし一方で、管理会社と施工業者がグループ会社などで結びついている場合、第三者的な視点が欠け、中間マージンが発生することも。こうした構造により、必ずしもコスト削減に意欲的でないケースも散見されます。
修繕積立金を有効に活用するためには、管理会社任せの「お任せ型」から脱却し、管理組合自身が工事プロジェクトに積極的に関与することが大きなカギとなります。
管理組合主導で修繕工事の進め方とは?
従来の慣習を見直し、管理組合が主体となって修繕工事を進めることは、コストダウンや適正な工事品質を実現する第一歩です。
もっとも、建築・設備分野は専門性が高く、提案内容や見積もりを正しく判断するには一定の知識が求められます。
そこで有効なアプローチが、「ハイブリッド型工事プロジェクト」です。
具体的には、管理会社・設計コンサルタント・施工会社それぞれの強みを活かしながら、管理組合主導でバランスよくプロジェクトを推進する方法です。
相見積もりでは、管理会社も競合の一社として参加させ、他社との比較を実施します。
このとき重要なのは、各業者に対して工事条件(期間、材料品質など)をできる限り統一し、公平な比較ができるよう調整することです。
また、管理会社に対しては紹介料・手数料の開示を求め、その妥当性も含めて検討します。
最終的には、比較表を作成し、各業者のメリット・デメリットをオープンな場で議論しながら選定を進めるのが理想です。
「適正価格」を見極め工事業者を選ぶぶポイントは?
① 劣化診断結果を活用し、工事範囲を絞り込む
劣化診断により、どの範囲を優先的に工事すべきか明確にします。
また、現地調査時に各業者から優先順位や中長期的なメンテナンス提案を受け、長期的なパートナーとしての適性も見極めます。
② 複数業者から相見積もりを取り、内訳まで精査する
「一式表示」の見積もりには注意し、できる限り単価や数量を明示した詳細な見積もりを依頼しましょう。
③ 設計監理方式(第三者コンサルタント方式)の導入
コンサルタントにより、見積もり妥当性の検証や工事中の品質監理が行えます。
ただし、コンサルタント自身が建築会社・管理会社と関係性を持つ場合もあるため、独立性には注意が必要です。
④ コストダウン提案を積極的に引き出す
業者には、材料グレードの見直しや工法の工夫、工期調整によるコスト削減案を積極的に求め、その提案力も業者評価に反映させましょう。
★★★もっと知りタイム★★★
修繕工事を「快適な暮らしの再設計」の機会に


修繕工事を単なる「作業」と捉えるか、それとも「未来の住まいづくり」と位置づけるかによって、マンションの価値と住民生活は大きく異なります。
住民(管理組合)が主体となり、工事内容を検討し、業者を選び、意思決定を行う。
このプロセスは、自分たちの住まいに対する「価値基準」や「将来の生活設計」を真剣に考えるきっかけとなります。
「どの程度の品質を目指すのか」「これからどんな暮らし方をしていきたいのか」。
こうした議論を重ねる中で、建物だけでなくコミュニティそのものも見つめ直す機会になるでしょう。
修繕工事とは単なる修理ではありません。
住まいと暮らしを未来へつなぐ、住民自身による大切な投資なのです。
「自分たちのマンションは、自分たちで育てていく」
そんな意識が、これからのマンション管理においてより一層求められているのではないでしょうか。
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