もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション住民の高齢化 修繕費不足 設備の性能維持 第三者管理方式 長期修繕計画の見直し
公開日:2024/05/20

建築費の高騰などを背景とした「修繕工事の資金不足」は、現在、多くのマンションで直面している大きな課題です。
また、これは単純な「修繕費」の問題だけではなく、住民の高齢化に伴い設備の機能維持などの管理業務を根本から見直す時期にきているマンションも多く見受けられます。
このように、経年による問題があるマンションでは住民個別の事情も複雑に絡み合うため、長期修繕計画の見直しには単純に「お金」の問題だけではなく、さまざまな角度からの検討が必要です。
目次
◯住民の高齢化はマンション管理に影響するの?
◯長期修繕計画を見直す必要ってあるの?
◯自分たちのマンションに合った修繕計画を作るには?
今週のもっと知りタイム
住民の利害関係を整理し「最適解」を見つけるために中立な「第三者」活用する
住民の高齢化はマンション管理に影響するの?
「高齢化」の問題は、マンションに限らず地域やコミュニティに大きな影響を与えます。しかし、特にマンションの場合は建物や設備を共有しているため、住民間の利害関係の調整が一層必要となります。
その利害関係を調整し、意思決定を行うのが「管理組合」の役割ですが、高齢化による「役員のなり手不足」や引き受ける人の「不公平感」も大きな課題となっています。
さらに、住民それぞれの「老後の設計」や「経済的な事情」も利害関係を複雑にするため、「管理組合」主導で合意を得ることが年々難しくなっている状況が多く見受けられます。
特に、大きなお金が絡む設備の改修工事では「管理組合」の調整能力がより一層問われています。
マンションメンテナンスに対する「考え方」は、突き詰めると「お金」の問題になりますが、そのお金を「いつ」「いくら」かけ、「どのように」工事するのかという問題に対して、住民全員が納得できる答えを出すことは難しい現実があります。
長期修繕計画を見直す必要ってあるの?
マンション管理において「長期修繕工事計画」を見直さなければならないケースは、主に「資金不足」と「状況の変化」の2つです。
マンション設備の予期せぬ故障などの「状況の変化」に対しては、「対処」するしかありませんので、問題は比較的簡単に解決できます。
調整が難しい課題は、「予防保全」工事の予算の合意形成です。つまり、まだしばらくは改修工事をしなくても機能が維持される状態の設備や建物のメンテナンス(修繕工事)に対する取り組みです。
例えば、給排水機能が正常に動いているにも関わらず、改修工事をする必要があるのかどうかの判断は難しい問題です。
自分たちのマンションに合った修繕計画を作るには?
不足する資金を調達する
将来的なビジョンや住民の個別の事情とは別に、少なくとも現在の住環境を維持するために必要な資金の準備が必要です。専門家の意見を聞きながら必要となる資金を算出し、その過不足分を住民全体で共有して、どのように対処するかをしっかり話し合う必要があります。
修繕計画を変更する
策定済みの長期大規模修繕計画から、「中期中規模修繕工事」や「随時小規模修繕工事」への切り替えを検討することも効果的です。ライフラインである「水道・電気・ガス等の設備」が正常に機能するための改修と、外観やバリアフリー工事などとの優先順位をつけ、年単位で修繕計画をきめ細かく見直していくことも有効な手段です。
★★★もっと知りタイム★★★
住民の利害関係を整理し「最適解」を見つけるために中立な「第三者」活用する


住民の高齢化に伴い、「修繕費不足」や「組合役員のなり手不足」といった課題が増えてきています。
そこで注目されているのが、マンションの「第三者管理方式」です。この方式では、管理組合の運営を第三者である専門家(管理会社やマンション管理士など)に一部または全部を委託します。
背景には、「住民の高齢化により組合運営が困難」「修繕工事などに専門知識が必要」「住民同士の利害関係の調整が難しい」といった問題があります。
国や行政もこの流れを後押ししており、平成28年のマンション標準管理規約改正では、「外部専門家を役員として選任できる」という条文が追加されました。
メリットとデメリットの両面がありますが、一部委託などの段階的な移行を検討し、有効に活用することも考えてみてはいかがでしょうか。
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