公開日: 2023/06/10 / 更新日: 2026/04/02

マンションの水道設備にとってポンプは、人間の身体で例えるならば「心臓」の役割を担う重要な設備です。
給水設備に使用されているポンプは、その建物の給水方式によってさまざまな種類のポンプが使われているだけではなく、呼び方や機能も多く、素人には理解が難しいように感じます。しかし自分が住んでいるマンションの給水方式を理解すれば、トラブルにもスムーズに対応することができます。
目次
この記事のポイント
この記事では、マンションの給水設備で使われるポンプの種類や寿命、トラブル対策について詳しく解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。
【3つの給水方式とポンプの違い】
マンションの給水方式とポンプには主に「高架水槽方式・揚水ポンプ」「加圧給水方式・加圧ポンプ」「増圧直結給水方式・増圧ポンプ」の3種類があり、それぞれ仕組みやメリットが異なります。
【給水ポンプの寿命は「10〜15年」が目安】
設置から10年を過ぎるとメーカーの部品供給が終了するリスクが高まるため、完全に壊れる前の計画的な交換が推奨されます。
【故障のサインを見逃さない】
「キーン」などの異常音、水圧の低下、水漏れなどの症状は故障の前兆です。放置すると「全戸断水」の恐れがあるため早急な対応が必要です。
【おすすめは「増圧直結給水方式」への変更】
衛生面や将来のメンテナンス費用(タンク清掃など)を大幅に削減できるため、近年は受水槽を撤去して直結化する改修工事が人気を集めています。
マンションの給水設備とは?水が各家庭に届く仕組み

マンションの給水設備は、大きく分けて3つの方式がある
マンションなどの集合住宅やビルでは、重要なライフラインのひとつである「生活用水」を各部屋 へどのようにして届けているのでしょう? 建物の「世帯(部屋)数」「階数(建物の規模)」「築年数」などにより、水道設備は様々な形で設計 運用されていますが、基本的な給水方式は高架水槽方式 、加圧給水方式 、増圧直結給水方式の3つに分類することができます。
高架水槽方式(高置水槽方式)の特徴とメリット・デメリット
水道局から送られてきた水を、一度1階や地下などにある「受水槽」に貯め、そこから揚水ポンプを使って屋上の「高架水槽(高置水槽)」へと汲み上げます。その後、重力を利用して上から下へ各戸へ給水する仕組みです。築年数の古いマンションや、大規模な団地などで多く採用されてきた伝統的な給水方式です。
| 高架水槽方式のメリット | |
|---|---|
| 停電・断水時に強い | 高架水槽内に一定量の水が貯まっているため、停電や水道本管の断水が発生しても、タンク内の水が尽きるまでは各戸で水を使用できます。 |
| 水圧が安定している | 水の重力(自然落下)を利用して給水するため、各階で急激な水圧の変化が起きにくく、安定して水を使えます。 |
| 高架水槽方式のデメリット | |
| 衛生管理の手間とコスト | 受水槽と高架水槽の「2つのタンク」を管理する必要があります。水質を保つため、年1回以上の清掃や法定点検が義務付けられており、維持費がかかります。 |
| スペースが必要 | 地上と屋上の両方に大きなタンクを設置するスペースが必要となり、建物の美観を損ねるケースもあります。 |
加圧給水方式の特徴とメリット・デメリット
水道局からの水を1階や地下の「受水槽」に貯めるまでは高架水槽方式と同じですが、屋上への汲み上げは行いません。受水槽の横に設置した「加圧給水ポンプ」の力(圧力)で、下から各戸へ直接水を送り届ける方式です。中規模マンションなどで広く普及しています。
| 加圧給水方式のメリット | |
|---|---|
| 屋上のスペースを有効活用できる | 高架水槽が不要になるため、屋上の美観がスッキリし、防水工事などのメンテナンスも行いやすくなります。建物への荷重負担も軽減されます。 |
| 維持管理コストを削減 | タンクが「受水槽」の1つだけになるため、高架水槽方式と比較して清掃費用やメンテナンスの手間を半減させることができます。 |
| 加圧給水方式のデメリット | |
| 停電時に水が止まる | 高架水槽のように高い場所に水をストックしていないため、停電でポンプが止まると同時に各戸への給水もストップしてしまいます。 |
| 依然としてタンクの衛生管理は必要 | 受水槽自体は残るため、定期的な清掃や水質検査などの衛生管理は引き続き必要です。 |
増圧直結給水方式の特徴とメリット・デメリット
受水槽や高架水槽といった「水を貯めるタンク」を一切使用しない、近年主流となっている方式です。水道本管から引き込んだ水に、「増圧給水ポンプ(増圧ポンプ)」で圧力をかけて、そのまま各戸へ直接送り届けます。新築マンションでの採用はもちろん、既存マンションの給水設備改修(直結化工事)でも非常に人気を集めています。
| 増圧直結給水方式のメリット | |
|---|---|
| いつでも衛生的で新鮮な水が飲める | 水をタンクに貯め置かないため、水道局から送られてきた新鮮な水をそのまま利用できます。衛生面での不安が最も少ない方式です。 |
| メンテナンス費用を大幅に削減 | タンクの清掃や水質検査が不要になるため、将来にわたるランニングコストを大幅に抑えることができます。 |
| スペースの有効活用 | 受水槽を撤去した跡地を、駐車場や駐輪場、トランクルームなどに有効活用でき、マンションの資産価値向上に繋がります。 |
| 停電時にも水が出る | 停電時でも水道本管圧力分の水の供給が可能なため、すぐに水が止まることがなく安心できます。 |
| 増圧直結給水方式のデメリット | |
| 断水時は水が出ない | 水道本管の断水時には、水が使えなくなってしまいます。 |
| 導入には条件がある | 水道局の基準を満たす必要があり、前面道路の水道本管の太さ(口径)や水圧が不足している地域、極端に規模の大きいタワーマンションなどでは導入できない場合があります。 |
サイト内別ページでも詳しくご案内しています。
安全な水を供給する「受水槽・ポンプ」の重要な役割


近年では水道本管の水をその水圧を利用して各家庭に送り込む「増圧直結給水方式」を採用、または給水方式を変更するマンションが増えてきていますが、一定の年数が経つマンションや水圧が足りない地域の建物では、一度「受水槽」に水を溜めてそこから各部屋に給水する方法か、「受水槽」から屋上の「高架水槽」まで一旦汲み上げ、そこから各家庭に自然流下を利用して給水 する「高架水槽方式」のどちらかの方式となります。
4階以上の建物では高層階へ給水をするため には、ポンプを使っても供給が難しいので「高架水槽方式」を採用することが一般的です。
それぞれの給水ポンプの特徴
| 給水方式 | 使用するポンプの種類 | ポンプの主な役割・仕組み |
|---|---|---|
| 高架水槽方式 | 揚水ポンプ | 地上の受水槽から、屋上の高架水槽へ水を「汲み上げる(揚水する)」 |
| 加圧給水方式 | 加圧ポンプ | 地上の受水槽の水を、各お部屋へ直接「圧力をかけて(加圧して)」押し上げる |
| 増圧直結給水方式 | 増圧ポンプ | 水道本管からくる水の圧力を、さらに「増幅させて(増圧して)」各お部屋へ押し上げる |
揚水ポンプ

「揚水ポンプ」は、屋上高架水槽の水が一定量以下になると、自動的にスイッチが入り受水槽から 汲み上げる仕組みになっていますので、比較的電気代がかからない点が特徴です。ただし、「受水槽」「高架水槽」などのタンクを経由するため水の「鮮度」が落ちる点と、当然ですがタンクの管理・清掃のメンテナンスが必要となります。
加圧ポンプ

「加圧ポンプ」は「受水槽」から直接各部屋へ水を圧送します。高架水槽が必要なくなりますので、 衛生面への配慮や(高架水槽分の)メンテナンスコストが削減できるメリットがありますが、ポンプの電気代が高い点や停電時に給水が止まる点などのデメリットがあります。
増圧ポンプ

「増圧ポンプ」は「給水本管」からその圧力をそのまま利用して各家庭に給水する時に、足りない 水圧を上げる役割をしています。「ブースターポンプ」と呼ばれるのもそのような理由からです。
増圧ポンプはマンションの住民が一斉に水道を利用して水圧が下がった時などの「補助的な加圧」 をするものだと考えて下さい。なので構造もシンプルですし外観も非常にコンパクトです。普段は作動していませんので電気代も安く済みます。デメリットは特にないと言ってもいいでしょう。
マンション給水ポンプの寿命(耐用年数)と交換時期の目安
管理組合様から最も多く寄せられるのが、「給水ポンプはいつ交換すべき?」「費用はどれくらいかかるの?」というご相談です。
給水ポンプの故障は「マンション全戸の断水」という重大なトラブルに直結するため、あらかじめ寿命を把握し、修繕計画(予算)を立てておくことが非常に重要です。
給水ポンプの寿命は「約10年〜15年」が目安
税法上の法定耐用年数(建物附属設備)は「15年」と定められていますが、毎日休むことなく稼働している実際の環境においては、「10年〜12年」での本体交換(ユニット交換)が推奨されています。
ポンプ本体の寿命が来る前にも、内部の部品は徐々に摩耗していくため、以下のようなサイクルでのメンテナンスが必要です。
●3〜5年: 消耗部品(メカニカルシール、ベアリング、センサー類など)の交換時期
●5〜7年: オーバーホール(分解点検・内部清掃)の推奨時期
●10年〜: ポンプユニット全体の交換推奨時期

設置から10年を過ぎると、メーカー側の「部品の保有期間」が終了してしまうことが多くなります。万が一故障した際に「部品がないため修理できず、新しいポンプが届くまで数日間も断水してしまう」といった最悪の事態に陥るリスクが高まるため、早めの検討が必要です。
【工事別】ポンプ交換・改修工事の費用相場
給水ポンプの交換や、給水方式を変更する(受水槽を撤去して直結増圧方式にする等)際の、おおよその費用相場をまとめました。マンションの規模(戸数)やポンプの出力(モーター容量)によって金額は大きく変動します。
| 工事内容 | 費用の目安(概算) | 備考 |
|---|---|---|
| 部品交換・部分修理 | 約20万〜100万円 | センサーや制御基板、モーター部品の交換など |
| 加圧給水ポンプの交換 | 約80万〜150万円 | 既存の受水槽は残し、ポンプユニット本体のみを新品に交換 |
| 増圧給水ポンプの交換 | 約150万〜300万円 | 既存の増圧ポンプを新品に交換 ※タワーマンション等の大出力ポンプはさらに高額になります |
| 直結増圧方式への切り替え工事 ※受水槽・高架水槽の撤去含む | 約250万〜500万円以上 | ポンプ代に加え、既存タンクの解体・処分費や、水道管の引き直し工事費が含まれるため高額になります |
※上記はあくまで一般的な目安です。設置場所の搬入経路の広さや、配管の劣化状況によっても費用は変動します。
マンション・ビルで利用されている給水ポンプのメーカーとは
主に「荏原製作所」「川本ポンプ」「TERAL(テラル)」の3社があります。
故障による更新をする場合、基本的には同じメーカーの同等性能機種を選ぶことになります。交換のタイミングや工事業者の考え方によっては、別メーカーや新型などの機種を提案してくる場合もあります。在庫状況などにより安く提供ができる機種があるためです。新商品の情報や工事業者の提案や見積りの根拠をよく確認してから、機種の選択をしましょう。

給水ポンプの故障による「断水・水圧低下」トラブルの原因と対策

マンションの水道設備にとってポンプは、人間の身体で例えるならば「心臓」の役割を担う重要な設備です。
給水設備に使用されているポンプは、その建物の給水方式によってさまざまな種類のポンプが使われているだけではなく、呼び方や機能も多く、素人には理解が難しいように感じます。
しかし自分が住んでいるマンションの給水方式を理解すれば、トラブルにもスムーズに対応することができます。
異常音や水漏れは故障のサイン?
給水ポンプは、ある日突然完全に動かなくなるケースもありますが、多くの場合、事前にいくつかの中小トラブル(サイン)が発生します。以下のような症状が見られたら、ポンプの寿命や故障が近づいている警告です。
異常音・異音(キーン、ガラガラなど)
モーターの軸受け(ベアリング)の摩耗や、内部部品の劣化が原因です。普段聞こえないような高い音や、金属が擦れるような大きな振動音が鳴り始めたら要注意です。
水圧の低下・不安定(お湯や水の出が悪い)
「朝や夕方など、皆が水を使う時間帯になると極端に水圧が下がる」「シャワーの水圧が強くなったり弱くなったりと安定しない」といった場合、ポンプの圧力を感知するセンサーや制御盤の不具合が疑われます。
ポンプ周辺からの水漏れ
ポンプ内部の水をせき止める部品(メカニカルシールなど)の劣化や、接続部分の配管の腐食によって水漏れが発生します。放置するとモーター部に水が浸入し、漏電やショートを引き起こす危険があります。
ポンプの頻繁な起動・停止(チャタリング現象)
誰も水を使っていないのにポンプが短時間で動いたり止まったりを繰り返す現象です。圧力タンクの空気抜けや基板の故障が原因で、放置するとポンプ本体に多大な負荷がかかり、寿命を大幅に縮めてしまいます。
少しでも異変を感じたら専門業者へ相談を!
「まだ水は出ているから」とこれらのサインを放置すると、最終的にポンプが完全に停止し、全戸断水という最悪の事態を招きます。異常に気づいた時点で、早急に専門業者による調査を行うことが被害を最小限に食い止めるカギです。
給水ポンプの不具合や停電で断水はおきてしまうの?

ではポンプの不具合や故障で「断水」はおきるのでしょうか?
受水槽から、または高架水槽を使っているマンションでは、故障を見据えて複数台数のポンプを設置してあり、交互に運転していますので1台止まっても問題はありません。
ただ、何らかの原因でポンプ全てが故障してしまうと、受水槽からの給水は止まりますし、高架 水槽を利用しているところでも、貯水されている分量の水を使いきると断水は起こります。
一方増圧ポンプを利用した給水では、基本的に本管の水圧で各家庭に給水されますので、多くの 家庭で一斉に利用すると水圧が下がるなどの症状はでるかも知れませんが、給水自体が止まるこ とはないでしょう。
ただやはりポンプの故障が起こってしまうと修理の費用も業者任せになり、「割高」になる傾向 がありますし、原状復帰を優先するため、メリットの多い「増圧直結給水方式」への変更を検討 する時間もなくなります。
なので、法定点検時やトラブルが起きる前にポンプの寿命などを確認して、水道設備の環境を 見直すことをおすすめします。
トラブルを未然に防ぐための定期点検とメンテナンス
突然の断水トラブルを防ぎ、給水ポンプを安全かつ長持ちさせるためには、年1回以上の「定期点検」が欠かせません。
定期点検では、主に以下のような項目をプロの目でチェックします。
定期点検を行っていれば、「この部品はあと半年以内に交換した方が良いですね」といった予測が立てられるため、計画的に修繕予算を組むことができます。結果的に、深夜や休日の緊急対応費用や、ポンプ本体の丸ごと交換といった高額な出費(数百万円規模)を未然に防ぐことに繋がります。
※サンコウ設備では「定期点検」を行っておりませんので、定期点検が必要な場合は、マンションの管理会社や専門業者にお問い合わせください。
【まとめ】マンション給水ポンプの交換はサンコウ設備にご相談を
マンションの給水設備は生活を支える重要なライフラインです。ポンプの寿命目安である「10〜15年」が近づいたり、異音や水圧低下が見られたりする場合は、全戸断水などの重大トラブルを防ぐため早めの「交換・更新工事」をご検討ください。
東京・埼玉エリアで実績のあるサンコウ設備は、年間100件以上のポンプ工事の施工実績を誇り、高品質かつ適正価格での工事を実現します。管工事施工管理技士などの有資格者が多数在籍し、衛生面や維持費に優れた「直結増圧給水方式」への切り替え実績も豊富です。
交換時期のご相談や、最新方式への切り替え費用のお見積もりは無料です。急なトラブルで慌てる前に、ぜひお気軽にお問い合わせください。
マンション給水ポンプに関するよくある質問
Q マンションの給水ポンプの寿命(交換時期)はどれくらいですか?
一般的に「約10年〜15年」が目安とされています 。ただし、ポンプは毎日稼働しているため、実際の環境下では「10年〜12年」での本体交換が推奨されます 。10年を超えるとメーカーの部品保有期間が終了し、修理できなくなるリスクが高まるため注意が必要です 。
Q 「加圧ポンプ」と「増圧ポンプ」の違いは何ですか?
給水方式による役割の違いです。「加圧ポンプ」は、地上の受水槽に貯めた水を各部屋へ圧力をかけて押し上げる役割を持ちます 。「増圧ポンプ」は、受水槽を通さずに水道本管の圧力をそのまま利用し、足りない水圧をブースト(増幅)させて各部屋へ送る役割を持っています 。
Q 給水ポンプが故障する前のサイン(前兆)はありますか?
はい、いくつかあります。「キーン」や「ガラガラ」といった異常音や振動、お湯や水の出が悪くなる(水圧の低下)、ポンプ周辺からの水漏れ、誰も水を使っていないのにポンプが短時間で起動・停止を繰り返す現象などが挙げられます 。これらの症状が出たら早急に専門業者へ点検を依頼してください 。
Q マンションの給水ポンプ交換や改修工事には、どれくらいの費用がかかりますか?
マンションの規模や工事内容によって変動しますが、加圧・増圧ポンプの本体交換で約80万〜300万円が目安です 。また、既存の受水槽・高架水槽を撤去して最新の「直結増圧方式」へ切り替える場合は、約250万〜500万円以上の費用がかかるケースが一般的です 。

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。
大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。



















