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マンション管理組合 第三者方式 専門家へ依頼するメリットとデメリット
公開日:2025/03/31

建物だけでなく、居住者自身も「高齢化」が進んでいるマンションにおいて、「建物の保全管理」や「住民の生活環境整備」といった課題の重要性が年々高まっています。
そうした中近年注目を集めているのが、「第三者方式」と呼ばれる新たな管理運営モデルです。
マンション管理の新しい選択肢である「第三者方式」について考えてみます。
目次
◯マンション管理の「第三者方式」ってなに?
◯「第三者方式」のメリットは?
◯「第三者方式」の不安面はありますか?
今週のもっと知りタイム
第三者管理方式の「合理性」と、コミュニティの持つ「曖昧さ」の両立させたマンション管理を
マンション管理の「第三者方式」ってなに?
「第三者方式」とは、マンションの管理運営において、理事長などの役職に住民(区分所有者)ではなく、外部の専門家といった“第三者”を登用する仕組みです。
具体的には、管理組合の理事長や理事などに、弁護士、建築士、マンション管理士などの専門家を迎え入れることで、より専門的かつ中立的な管理体制を構築することを目的としています。
これまで多くのマンションでは、区分所有者による輪番制の理事会運営が一般的でした。しかし、第三者方式はこの枠組みを超えて「外部の力」を取り入れるという点で、マンション管理の大きな転換点といえるでしょう。
「第三者方式」のメリットは?
第三者方式が注目されている背景には、理事会を担う住民の減少に加えて、マンションの老朽化が進み、大規模修繕や設備更新、耐震補強といった高度な判断が求められる場面が増えていることがあります。
主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
1. 高度な専門性による意思決定の質の向上
住民だけでは対応が難しい、大規模修繕工事の見積比較や業者選定、さらには近隣トラブルや滞納への対応などについて、専門家の視点で関与することができ、意思決定の質やスピードが大幅に向上します。
2. 公平・中立な立場によるトラブルの回避
第三者はマンションの内部事情や利害関係に左右されないため、特定の住戸や意見に偏ることなく、公平な判断が可能です。
この中立性により、総会での議決がスムーズに進み、住民間の信頼関係も築きやすくなります。
3. 住民の心理的負担の軽減
第三者が積極的に運営に関与する体制が整えば、住民はより柔軟な形で管理に関わることができ、心理的な負担が軽減されるとともに、安心感も生まれます。
「第三者方式」の不安面はありますか?
最大の懸念点は、外部の専門家に報酬が発生するため、当然ながらコストの問題が生じることです。
また、専門家によるアドバイスやコンサルティングは、目に見える成果として実感しにくい場合があるため、「コストパフォーマンス」や「タイムパフォーマンス」、およびその他のメリットについて、事前に住民間でしっかりと共有しておく必要があります。
そのためには、意思決定プロセスの透明化や、住民の意思が反映される仕組みづくりも重要です。
さらに、専門家に依頼しているという「安心感」により、住民の主体性や当事者意識が薄れる恐れもあり、注意が必要です。
★★★もっと知りタイム★★★
第三者管理方式の「合理性」と、コミュニティの持つ「曖昧さ」の両立させたマンション管理を


従来のマンション管理では、住民が持ち回りで理事会を担当する形が一般的でした。しかしこのような運営体制では、一部の住民に業務や責任が偏り、「不公平感」が生じることも少なくありませんでした。
一方、第三者方式では、外部のプロフェッショナルが中心となって運営を担うため、より「公平性」が高まる点が大きなメリットといえるでしょう。
しかしその反面、これまでご近所同士の「曖昧な空気感」の中で自然と調整・解決されていた日常的な問題は、「ルール」や「契約」に基づいたドライな対応に変わる可能性もあります。
第三者方式は、そうした曖昧さを「合理化」する手段として非常に有効です。ただし、それによって人間関係が希薄になり、「心の通わない関係性」になってしまっては本末転倒です。
ルールと人間関係は相反するものではありません。両立させるための知恵こそが、これからのマンション管理に求められています。
第三者管理という仕組みを、自分たちのマンションに合った形で柔軟に取り入れることが、明確さと温かみのある関係性を両立させた、持続可能なコミュニティ運営への第一歩となるのではないでしょうか。
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