もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション水害対策 ゲリラ豪雨 台風 水道設備防災対策 災害とコミュニティ
公開日:2024/09/29

毎年のように猛暑が続く中、ゲリラ豪雨や台風による被害も年々深刻化しています。多くのマンション住民が、「自分の住んでいるマンションは対策されているはずだ」と思ったり、「高層階だから安全だ」と考えたりしがちですが、実際にはそうとも限りません。
2019年に発生した台風で、武蔵小杉のタワーマンションが泥水による浸水被害に遭ったことは、記憶に新しいところです。
予期せぬ豪雨が地下に設置された水道や電気設備に被害を及ぼすと、マンション全体のライフラインに関わる深刻な問題が発生する可能性があります。こうした事態を避けるためには、事前の対策が欠かせません。
目次
◯マンションの水害対策はなぜ必要なのか?
◯水道設備の具体的な対策とは?
◯水道設備以外の対策は?
今週のもっと知りタイム
管理組合による防災対応の重要性
マンションの水害対策はなぜ必要なのか?
最近のゲリラ豪雨は、局地的に1時間あたり50mmを超える降水量を記録し、開始から30分以内に河川の氾濫や建物の浸水被害をもたらすことがあります。このような集中豪雨は地方だけでなく、都市型水害として都市部のマンションのインフラにも深刻な影響を及ぼしています。
特に一度に大量の雨水が地下に流れ込むと排水処理能力が追いつかず、地下駐車場や電気・水道設備に浸水するリスクが高まります。万が一設備に被害が出れば、マンション全体の生活に支障をきたすため、水害対策は非常に重要です。
水道設備の具体的な対策とは?
マンションの水道設備における対策は、主に「排水設備」と「給水設備」に分かれます。
排水設備
豪雨対策の大きなポイントとなるのは、排水設備の整備です。以下の具体的な対策を実施することで、被害を最小限に抑えることができます。
❶排水口や雨水管の定期点検と清掃
詰まりを防ぐために、排水口や雨水管を定期的に点検・清掃し、ゴミや落ち葉などの障害物を取り除くことが重要です。
❷排水システムの増強
雨水の流れを改善するため、必要に応じて排水システムの増強を行い、処理能力を向上させることを検討します。
❸防水シートの設置
地下部分や駐車場など浸水リスクの高い場所には防水シートを設置し、浸水被害を防ぎます。
給水設備
給水設備はマンションの給水方式によって対策内容が異なります。以下に主要な給水方式ごとの水害対策ポイントをまとめました。
❶直結給水方式
配管が浸水しないように防水材を用いた保護対策を実施し、配管の接合部や老朽化箇所の定期点検を行うことが求められます。また増圧ポンプを使用している場合は、ポンプ室の防水対策を徹底しましょう。
❷受水槽方式(貯水槽方式)
貯水タンクの防水対策や周辺の排水対策が重要です。豪雨による泥水の侵入を防ぐために、貯水タンク周辺の整備を行い、定期的にポンプの点検を実施します。
水道設備以外の対策は?
水道設備の防水対策と併せて、以下の点も確認・整備することをお勧めします。
❶バックアップ電源の確保
豪雨や水害で停電が発生した場合に備え、エレベーターやポンプの稼働を維持するためのバックアップ電源の設置が必要です。マンション全体の電源供給にも影響を与えるため、電源確保は最優先課題と言えるでしょう。
❷防水扉や止水板の設置
地下駐車場やエントランスへの浸水を防ぐため、止水板や浸水時に自動で閉まる防水扉の設置を検討しましょう。
❸非常用水の備蓄
豪雨時に断水が発生することも考えられるため、非常用の貯水タンクを設置し、各家庭でも非常用水の備蓄を行うことが重要です。
★★★もっと知りタイム★★★
管理組合による防災対応の重要性


防災対策は最終的には各家庭の防災意識と準備に依存しますが、マンション全体の対策を強化することで被害の程度は大きく変わります。そのため、管理組合の役割は非常に重要です。
管理組合は、豪雨や水害リスクに関する情報を住民に定期的に提供し、意識喚起を行う必要があります。また、マンションのハザードマップを確認し、対策計画を立てることも効果的です。
避難経路の確認や防災用品の整備を含む防災訓練を定期的に実施し、防災リーダーや避難係を設置することで、緊急時の対応体制を強化します。防災訓練は、住民の意識を高めるだけでなく、実際の災害時にスムーズな避難行動を取るための大切な機会です。
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