マンションの直結給水変更工事はいくらかかる?

公開日: 2024/06/10  / 更新日: 2026/08/25

マンションの給水方式変更工事

マンションの給水方式を「直結給水方式」へ変更することには、多くのメリットがあります。
常に新鮮で衛生的な水が給水されるだけでなく、ポンプや受水槽・高架水槽といった付帯設備の点検・維持費を大幅に削減できるほか、撤去した受水槽跡地を駐車場や駐輪場として有効活用できるケースもあります。
しかし、いざマンションの給水方式変更を検討するとなると、「工事費用はどれくらいかかるのか?」「費用対効果は見合うのか?」といった疑問をお持ちの管理組合様・オーナー様も多いのではないでしょうか。
本記事では、マンションの直結給水方式への変更工事における費用決定の要件や、費用対効果を高めるためのポイントを分かりやすく解説します。

アイコンこの記事のポイント

この記事では、マンションの給水方式を直結給水へ変更する際の費用要件や適合条件、見積もり時のポイントを解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。

【直結給水方式への変更可否の確認方法】

周辺の施工事例や水道本管の水圧、居住人数に応じた必要口径などを調査し、変更可能かあらかじめ確認する必要があります。

【「直圧直結」と「増圧直結」の違い】

本管の水圧だけで送水する「直圧式」と、増圧ポンプを設置する「増圧式」があり、階数や水圧条件によって工事費用が大きく変わります。

【工事費用(見積額)を左右する主な要因】

配管の工事範囲や材質、露出か埋設かといった仕様に加え、既存設備の撤去費用や行政への分担金・補助金の有無が影響します。

そもそもお住まいのマンションは「直結給水方式」へ変更ができるのか?

給水方式変更の事前調査正確な工事費用を知るためには専門業者に見積もりを依頼する必要がありますが、その前提としてお住まいのマンションが直結給水方式に変更可能な条件を満たしているかを調査しなければなりません。

具体的には、以下のような順序で事前調査と適合性の確認を行います。

1. 水道局への確認(水圧と施工実績の調査)

まずはマンションを管轄する水道局に対し、周辺地域での直結給水の工事実績や、変更に伴って十分な「水圧」が確保されているかを確認します。前面道路の水道本管の水圧が不足している場合は、増圧ポンプの設置(増圧直結給水方式)が必要になる、あるいは直結化自体が認められないケースもあります。

2. 瞬間最大使用量の計算(戸数や用途からの算出)

次に、マンションの総戸数や居住人数、店舗の有無などから、朝夕のピーク時などにどれくらいの水が使われるかを示す「瞬間最大使用量」を算出します。この使用量の計算方式や基準は、各自治体の水道局によって細かく定められています。

3. 引き込み管口径の割り出し(本管との適合性)

算出された瞬間最大使用量に基づき、水道本管からマンション敷地内へ引き込む水道管に必要な「口径(太さ)」を割り出します。現在引き込まれている管の口径で水量が足りない場合は、本管からの引き直し(増径工事)が必要となり、工事費用に大きく影響します。

このように、給水方式変更の事前調査や確認には専門的な知識や行政との協議が必要不可欠です。まずは信頼できる設備工事業者へ現地調査を依頼することをおすすめします。

「直圧直結給水方式」と「増圧直結給水方式」の違いは?

一般的にマンションの「直結給水」とは、受水槽や高架水槽に水を一度溜めることなく、水道本管の水圧を利用して各部屋へ直接届ける仕組みです。直結給水方式は大きく分けて「直圧直結給水方式」「増圧直結給水方式」の2種類に分類されます。それぞれの特徴や違いを詳しく見ていきましょう。

直圧直結給水方式とは(ポンプ不要のシンプル構造)

道路の下を通る水道本管の圧力のみを利用して、各住戸の蛇口まで直接水を届ける方式です。水圧を補うポンプ等の機器を一切設置しないため、非常にシンプルな構造となっています。
主に3〜5階建て程度の中小規模マンションで採用されますが、周辺の水道本管の水圧が十分に高い地域であることが前提条件となります。

増圧直結給水方式とは(専用ポンプで上層階へ送水)

増圧ポンプの設置マンションの階数(高さ)が高い場合や、地域の水道本管の水圧が低い場合、本管の圧力だけでは上層階まで十分な水圧が届きません。そこで、敷地内に専用の「増圧ブースターポンプ」を設置し、水圧を補って各住戸へ送水するのが増圧直結給水方式です。

中高層マンションでも受水槽を撤去して直結化できるため、多くのマンション給水変更工事で採用されています。

【比較表】直圧直結給水方式と増圧直結給水方式の違い

2つの給水方式の主な違いを以下の一覧表にまとめました。

比較項目直圧直結給水方式増圧直結給水方式
給水の仕組み水道本管の水圧のみで給水増圧ポンプで圧力を補って給水
対象建物の目安小〜中規模(主に3〜5階建て程度)中〜大規模(中高層マンション対応)
増圧ポンプの有無不要必要(敷地内に設置)
初期工事費用抑えられる(ポンプ機器代が不要)高くなる(ポンプ設置費が発生)
電気代・メンテナンス電気代なし・点検負担が極めて少ないポンプの電気代および定期点検が必要

費用対効果の検討このように、マンションの構造や階数、周辺環境によって最適な給水方式や必要な設備が異なります。変更工事が可能かどうかだけでなく、導入後の維持管理費用を含めた「費用対効果」を総合的に判断することが大切です。

工事の見積金額は、どのような要件(条件)で決まるのか?

直結給水方式への変更条件がクリアできたら、実際に業者から見積もりを取得します。工事金額を決定づける主な要因について整理しましたので、見積書を精査する際の参考にしてください。

配管工事の価格に影響する要件

配管工事見積額を大きく左右するのが配管工事の施工条件です。主に以下の要素によって費用が変動します。

  • 工事(配管)の施工範囲:水道本管からの引き込み位置や、敷地内の配管距離によって工事規模が変わります。
  • 使用する配管の仕様:必要な管の口径(太さ)や、耐久性に優れた管材の種類によって材料費が変動します。
  • 敷設工法:既存配管を流用できるか、新設が必要か。また、土中への埋設か露出配管かによって施工手間が大きく異なります。

撤去工事・付帯設備に関する費用要件

既存設備の撤去配管工事以外にも、既存設備の状況や選択する給水方式によって以下の費用が発生します。

  • 既存設備(受水槽・高架水槽)の解体・撤去費:直結化に伴い不要となる大型タンクの解体・処分作業費用です。
  • アスベスト調査および除去対策費:建物の築年数によっては事前のアスベスト調査が義務付けられており、検出された場合は安全な除去対策費用が必要です。
  • 増圧ポンプの仕様・性能(増圧直結の場合):増圧直結給水方式を採用する場合、選定するポンプの出力やメーカーによって製品価格・設置費が変動します。

行政(市町村水道局)との調整要件

行政との調整工事そのものの費用だけでなく、行政手続きや自治体固有のルールによっても全体の費用が変わってきます。

  • 水道加入金・分担金や補助金の有無:引き込み管の口径を太くする際の納付金(加入金・分担金)は自治体ごとに異なります。また、給水方式変更に関する補助金制度が利用できる場合もあります。
  • 階数制限の有無:直圧直結給水が認められる階数制限(例:3階まで、5階まで等)は各水道局の基準によります。
  • 自治体ごとの独自施工ルール:使用できる配管材料の指定や施工方法など、管轄水道局の技術基準に適合させる費用が発生します。

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【まとめ】給水方式の変更は事前の条件確認と適正な見積もり比較が成功のカギ

マンションの給水方式を直結給水方式へ変更することは、水の安全・衛生面の向上だけでなく、受水槽や高架水槽の定期清掃費・点検費といったランニングコストを長期的に削減できる非常にメリットの大きい工事です。

しかし、直圧式と増圧式のどちらが適しているか、また引き込み管の口径変更や既存設備の解体条件によって工事費用は大きく変動します。管理組合様やオーナー様が費用対効果を最大化するためには、建物の状況を正確に把握し、最適な施工計画を提案できる専門業者を選ぶことが大切です。

株式会社サンコウ設備では、事前調査から行政手続き、施工・アフターメンテナンスまで自社一貫体制で承っております。給水方式の変更をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

給水方式の変更工事に関するよくある質問

Q 直結給水方式に変更する主なメリットは何ですか?
A

受水槽を介さずに水道本管から直接給水するため、常に新鮮で衛生的な水が利用できる点が最大のメリットです。また、受水槽や高架水槽の定期清掃・点検・法定検査が不要になり、長期的な維持管理コストを大幅に削減できます。さらに、撤去後の受水槽スペースを駐車場や駐輪場などに有効活用することも可能です。

Q すべてのマンションで直結給水方式に変更できますか?
A

すべての建物で変更できるわけではありません。前面道路の水道本管の水圧や配管口径、建物の高さ(階数)や戸数によって変更の可否が決まります。本管の水圧が不足している場合でも「増圧直結給水方式」を選択することで対応できるケースが多いため、まずは現地調査と水道局への確認が必要です。

Q 工事期間中、マンション全体が長時間断水することはありますか?
A

配管の切り替え作業時に一時的な断水が発生しますが、あらかじめ事前の工事案内を行い、住人の方への影響を最小限に抑える計画を立てます。すべての工事期間を通じて水が全く使えない状態になるわけではなく、基本的には数時間程度の一時断水を数回に分けて施工するのが一般的です。

この記事の監修者
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。

大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。

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