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マンション修繕工事 責任施工方式 水道工事業者の選択基準
公開日:2024/02/26

近年、マンションの改修工事の発注形態として「責任施工方式」を取り入れるマンション管理組合が増えています。
そこには「マンションの維持管理は住民自らが責任を持って取り組んでいく」といった意識の変化も見られますが、予定していた修繕工事が予算内ではできなくなった為、管理会社やコンサルタントに「お任せ」していた業務を自らが行うことでコストの削減をはかるケースも多いようです。
「責任施工方式」において水道設備の改修工事を進めるポイントは何か、また注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
目次
◯水道工事を「責任施工方式」で進めるためにはどのような注意点があるの?
◯業者選定のためのチェックポイントとは?
◯住民との合意形成はどのように進めるべき?
今週のもっと知りタイム
信頼関係構築のためには実績と時間がかかる
水道工事を責任施工方式で進めるためにはどのような注意点があるの?
マンションやビルの水道工事には、専門的な知識だけではなく多くの現場経験に基づいた「知見」が必要になりますが、「責任施工方式」を選択をした管理組合は、その専門家をどのようにして見極めればよいのかという大きな課題に直面します。
それは「医者」を選ぶことと少し似た面があり、「お任せ」と「対等」のバランスをどのようにとるのかということになるかも知れません。「医者」も「水道工事業者」も、専門的な領域の点に関して相手がある程度理解してくれなければ説明もやりづらくなりますし、双方が納得のいく「手術」や「工事」にはならないからです。
ここははやり、病院における患者とおなじように「マンションの住人」も自分たちが受ける「手術=工事」の内容を理解するべきですし、それが、価格・品質に満足できる工事にもつながります。
ネットなどを通じて多くの知識を仕入れると同時に、工事業者のWEBサイトを良く吟味して、なるべく多くの業者情報を得るようにしましょう。
業者選定のためのチェックポイントとは?
まず大前提として、施主側(管理組合)が専門家ではないことを十分理解をして、説明を尽くしてくれる業者であることです。
そのうえで工事業者から、「こんなことまで説明させるの?」と言われることを恐れずに、どんな小さなことでも不明な点はしっかりと質問するべきでしょう。そのコミュニケーションの積み重ねが、管理組合(住民)と施工業者の信頼関係に繋がるからです。
また、相談する際は複数の業者にオファーをしましょう。同じ質問に対する各社の答え方は、選定のための大きなポイントとなるでしょう。
水道工事施工業者選定のための「チェックポイント」
❶経験と実績
最初に確認したい点は、自分のマンションと規模や経年数などが同じような現場の実績です。できれば具体的なマンション名やそのマンションの顧客の声も確認できると、提案や見積もりの信憑性が担保されます。
❷資格と保険
基本的なことですが、水道工事業の許可や必要に応じた特定の技術資格を持つスタッフ在籍の確認は重要です。工事中に事故や損害が発生した場合に備えて、業者が適切な保険に加入しているかを確認しましょう。
❸提案と見積もり
見積もりが詳細であり、どのような作業にどれだけの費用がかかるのかが明確にされているかは重要です。「一式」や「追加工事費は別途」などと記載されている場合は要注意です。内容を納得がいくまで問いただしましょう。
❹工事中の対応
工事をお願いした際、工事中には住民に対しどのような「配慮」をするかの確認も必要です。断水や排水不可の日程は当然として、資材置き場、駐車場の利用、作業中の埃や工事材料による住民生活への影響など細かな課題への対策をしっかりと提案できる業者は、現場も多く経験しており信頼の一つの基準になります。
❺アフターサービス
保証期間や定期点検などのコストもしっかりと提示できるかを見極めましょう。
❻コミュニケーション
選定のために多くのやり取りが発生しますが、そのやり取りがレスポンス早く、スムーズにいくかどうかの見極めも重要なポイントです。
住民との合意形成はどのように進めるべき?
基本は、業者選定のプロセスの透明化です。
理事会もしくは修繕委員会の議事録の公開はもちろん、業者との打ち合わせや見積もり内容も、リアルタイムでできるだけオープンな形で住民と共有しましょう。ツールとしては「回覧板」や「報告書」などの印刷物だけでなく、ネットを使ったコミュニケーションツールを活用する方法もあります。
ネットを使うことで、住民も参画しやすくなり当事者意識の向上にもつながります。
場合によっては住民公開の場を設け、依頼をしている複数の業者に公開プレゼンテーションをしてもらう形もよいでしょう。業者に対しても「公平感」も出ますし、住民の決定に対しての「納得感」も増すと思います。
★★★もっと知りタイム★★★
信頼関係構築のためには実績と時間がかかる


大規模修繕工事などの大きなプロジェクトを、いきなり『はじめましての会社』に発注することは大きなリスクがあると同時に、住民全員のコンセンサスをとることは難しい作業となります。
たとえ十分な時間と検証を経て新規の取引きをお願いすることになった業者でも、最終判断をした理事や修繕委員には重い責任や精神的な負担もかかってきます。
なので、大規模修繕工事のタイミングでいきなり工事業者を選定するのではなく、普段のメンテナンスを含めた小さな取引きを積み重ねながら、お互いの信頼関係を育んでいくことが理想です。
たとえば病気になった時に、設備が充実している大学病院にいきなり大手術をするのではなく、かかりつけの医者を持つようなイメージです。
普段の付き合いからそのマンションの設備や事情が良く分かり、場合によっては「今回はこの工事をやらなくても大丈夫」などというアドバイスをもらえる信頼関係のある工事業者が、大規模工事の際も力になってくれます。
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