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マンション管理費節約 修繕積立金不足 長期修繕計画見直し
公開日:2024/10/30

建築費の高騰に伴い、マンション修繕費の見直しが必要となっています。
計画通りに修繕を進められないと、老朽化が進むだけでなく突発的な水道トラブルの原因にもなりかねません。
また、予定外の緊急を要する設備の故障は、日常生活に支障をきたすだけでなく、通常対応よりも大きなコストが発生する可能性があります。
効率的な設備修繕工事を行うためには、マンション管理コスト全体の見直しが求められます。
目次
◯設備修繕費値上がりへの対策はどうすればよいの?
◯マンションの管理費は何に幾らかかるの?
◯管理費の見直しはどのように進めるべきか?
今週のもっと知りタイム
長寿命化を実現する修繕計画の見直しが、長期的コストダウンに
設備修繕費値上がりへの対策はどうすればよいの?
現在、修繕工事を控える多くのマンションが、10年あるいはそれ以前の修繕計画に基づいて工事を進めようとしています。そのため、近年の工事費高騰を考慮していないこれらの計画では、当初予定していた内容での工事が難しくなっています。
不足する修繕費用を補うためには、次の3つのアプローチが考えられます:
①修繕積立金を値上げする
②管理費などマンション経費を見直し、修繕費用とのバランスを調整する
③修繕計画自体を見直す
修繕積立金の値上げには金額の根拠が必要で、住民への具体的な説明が求められます。その際、管理費や計画の見直しも合わせて議論するのが良いでしょう。まずは、管理組合が主体となって現状の管理費を検証することが重要です。
マンションの管理費は何に幾らかかるの?
そもそも、管理組合が住民から徴収する「管理費」は、どのように使われているのでしょうか?
国土交通省のマンション標準管理規約によると、管理費は次のような項目に使用されるとされています:https://www.mlit.go.jp/common/000161664.pdf
・管理員の人件費
・税金
・共用部分の電気・水道代
・共用設備(エレベーター・照明など)の保守維持管理費
・共用部分の火災、地震、漏水事故等の損害保険料
・清掃・ゴミ処理費
・外部コンサルタント費
・設備の補修費
・管理組合の運営や事務備品等の費用
一般的に、管理費と修繕積立金を合わせた管理費の目安は、専有面積1㎡あたり月額300~700円程度です。たとえば専有面積70㎡のマンションなら、管理費と修繕積立金の合計で月額21,000~49,000円程度になります。
管理費の見直しはどのように進めるべきか?
まずは管理組合が主体となり、現状のコストを検証することが必要です。
住民への説明会や周知を通じて、管理費や修繕積立金の使い道を共有し、コスト削減に対する理解を深めてもらう「住民意識の向上」も重要なポイントとなります。
各サービスの費用対効果を検証することで、管理費の節約も可能です。例えば、共用部の照明をLEDに変更したり、省エネルギー型エレベーターを導入する、保険内容を見直して保険料を削減するなど、設備を効率化する工夫が考えられます。また、住民による清掃日を設定することで、清掃費の節約と住民のコスト意識向上の両面で効果が期待できます。
ただし、管理費の費用対効果を検証するには専門知識が求められることも多いです。そのため、複数の管理会社から提案を受け、費用やサービスの比較検討を行うことも有効です。他社の見解を得ることで、現在の管理会社との契約内容の再確認にもつながります。
★★★もっと知りタイム★★★
長寿命化を実現する修繕計画の見直しが、長期的コストダウンに


マンション共有設備の長寿命化を目指すためには、修繕計画の見直しが不可欠です。管理費の予算配分を含め、計画の再検討が求められるでしょう。
修繕計画を見直す際には、「現状分析(劣化状況の把握)」「優先順位の設定」「修繕タイミングの最適化」の3つがポイントです。
たとえば、エレベーターは定期点検が義務化されていますが、給排水設備や外壁などは日常的に目に見えず、点検が義務化されていないため、修繕のタイミングが重要です。
劣化が進む前に交換や補修を行う「予防保全」を導入することで、設備の寿命を延ばし、交換の頻度を減らせます。劣化が進行してからの交換よりも予防保全は低コストで済むため、長期的に見たコスト削減につながります。
これらの取り組みを通じて、マンションの資産価値を保ちながら、長期的なコストダウンを実現できます。
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