もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション水道設備の老朽化診断 劣化調査方法 データロガー モニタリング
公開日:2024/08/17

マンションの水道設備は建物内部に設置され構造が複雑であるため、その老朽化の判断は困難とされています。
しかし、漏水やポンプの故障などの問題が発生してから対応する場合、部分的な修理では解決せず設備全体の更新が必要になるケースが多く見られます。
人間の「健康診断」と同様に、手遅れになる前にマンションの水道設備の「老朽化診断」を行うことが重要です。
目次
◯マンション水道設備の老朽化を「簡単に」診断する方法は?
◯マンション水道設備の老朽化を「詳細に」診断する方法は?
◯マンション水道設備の老朽化を「さらに詳細に」診断する方法は?
今週のもっと知りタイム
データロガーによる長期モニタリングで、中長期的な水道設備の監視効果について
マンション水道設備の老朽化を「簡単に」調査・診断する方法は?
マンションの水道設備の老朽化を調査・診断するには、目視による簡易な方法から、専門機器を使った詳細な調査まで様々な手法があります。
まず簡易な調査方法として、目視や音聴による漏水調査があります。これらは費用を抑えられる一方で、マンション全体の水道管を網羅的に調査することはできず、管内部の状態を確認することもできないため精度には限界があります。
そこで一般的に行われる劣化調査の一つとして、「水道メーター周辺の抜管調査」があります。マンションの専有部と共有部の境界にある水道メーター周辺配管は、異なる材質が接続されていることが多く、劣化が進みやすい部分です。ここで管を切り取り内部のサビ具合や消耗の程度を調査することで、マンション全体の劣化状況を推測することが可能です。
マンション水道設備の老朽化を「詳細に」調査・診断する方法は?
さらに詳しく劣化を調査する方法として、以下の手法があります。
●内視鏡調査: 配管内にカメラを挿入し、内部の状態を直接観察します。これにより、腐食や詰まりの具体的な場所を特定できます。
●耐圧試験:配管に一定の圧力をかけて耐圧性能を確認します。古くなった配管では、耐圧試験中に亀裂や破損が発生することがあるため注意が必要です。
●流量測定:水道設備の流量を測定し、通常よりも流量が低下している場合、配管の詰まりや内部の縮小が考えられます。
マンション水道設備の老朽化を「さらに詳細に」調査・診断する方法
さらに詳細な劣化調査として、次の手法があります。ただし、これらは専門業者による時間をかけた調査が必要となり、マンションの規模によっては調査費用も大きくかかるので、慎重に検討が必要です。
●超音波・X線検査:超音波やX線を利用して配管内部の腐食や詰まりを調べます。これにより、外観からは分からない内部の劣化や配管の肉厚を非破壊で確認できます。
●赤外線サーモグラフィ:主に給湯管の調査に利用される手法で、赤外線カメラで配管周辺の温度分布を確認し、漏水や断熱不良を非破壊で検出できます。

※サーモグラフィーを使った水道設備調査のイメージ
★★★もっと知りタイム★★★
データロガーによる長期モニタリングで、中長期的な水道設備の監視効果について


世帯数が多い大型マンションでは、水道設備の改修工事に莫大な費用がかかります。そのため、最新の機器や技術を活用した設備の劣化モニタリングを行うことで、より正確な状況判断が可能となり、結果として工事の最適化につながります。
データロガーとは、特定の場所で「水圧」「流量」「電気伝導度(水質の指標)」などを継続的に測定し、記録する電子装置のことです。このシステムを利用することで、長期的なデータ分析により設備の劣化傾向を予測し、適切なタイミングでの修繕・更新計画の立案が可能となり、不要な工事の削減やコスト最適化に貢献します。
ただし、初期導入コストや運用費がかかるため、管理組合は専門家と十分に協議し、マンションの特性に合わせた最適なシステムを選択・導入することが重要です。
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