もっと知りたい「今週のキーワード」
マンション ポンプ交換工事 見積もり 工事業者選び
公開日:2023/11/06

マンションの水道設備のポンプは、定期的な保守点検はもちろんのこと、劣化の程度により交換工事が必要となりますが、その工事費用は、専門的な知識が必要となるため一般の方には分かりづらく、管理会社や業者に「お任せ」になる傾向があります。
本当に費用対効果の高い工事をするために、管理組合や工事担当の理事が、工事内容や見積もりに関して「情報・知識」を身に着けることも必要です。
目次
◯ポンプ交換工事の見積もりは「素人」にも依頼できるの?
◯ポンプ工事の見積もりのポイントとは?
◯ポンプ工事業者はどのように選べば良いのか?
今週のもっと知りタイム
見積金額に大きく影響をする、依頼する会社の「立ち位置」
ポンプ交換工事の見積もりは「素人」にも依頼できるの?
ポンプ工事は「お任せ」で良いのか問題
様々な種類の国家資格もあるほどの設備工事はとても専門的な作業です。工事に関して「素人」がポンプ工事の見積依頼をしても、内容を理解して「見積もり価格が適正か」どうか判断することは難しいでしょう。そこでほとんどの管理組合では、大きなトラブルがないかぎり、ポンプの耐用年数を目安に点検・交換を管理会社に「お任せ」をているのではないでしょうか?
しかし専門的な内容や技術的なことは別として、管理組合である発注側が基本的な知識や情報を身に着けることで、工事提案や見積もりの内容が理解できるだけでなく、実際に現場で作業をする工事業者とのコミュニケーションも取りやすくなり、コストパフォーマンスの高くスムーズな工事を行うことができます。
見積もりは1社だけで良いのか?
時間や手間のかかることですが、管理会社が斡旋する(あるいは関連会社の)工事業者以外の会社から見積もりをもらうことも検討するべきかも知れません。
それは単に価格比較のための「相見積もり」という意味合いだけではなく、新しい会社が現状の調査をすることで「別の角度からの工事提案」をもらうことができるからです。
たとえばポンプ交換をしなくてはならない工事が、今回は部品交換などの部分的なメンテナンスだけで済ませ、給水方式の変更を視野に入れた将来的な修繕計画を、総合的に提案してくる会社も見つかるかもしれません。
さらには、なるべく断水期間を少なくするための「工事スケジュール」、「騒音対策」など細やかな点を付随して提案をしてもらえる会社もありますので、数社の提案を机上に乗せて総合的に判断することも有効となります。
ポンプ工事の見積もりのポイントとは?
簡単に言ってしまうと「機械(ハードウェア)」と「工事(手間賃)」の2つの価格の合計となります。
「ポンプ本体の選定」は、基本的には「既存ポンプと同等の性能の機械」となり、提案はポンプメーカーの違いはあるかも知れませんが、業者による差は大きくないでしょう。その場合、「なぜこのメーカーのこのポンプを選定したのか?」という質問をすることも必要かも知れません。
しかし、機械本体よりも見積もり価格や内容に差が出るのは、工事提案による現場作業の費用です。
実際の工事見積もりは、現場調査から算出される以下の点をもとに算出されるので、工事全体での費用が大きく変わるひとつのポイントとしては、以下に上げる「想定される現場作業の手間賃」です。
・既存ポンプの撤去費用(廃棄費用、設置場所の状態を元に戻す土木作業も含める)
・配管工事(ポンプ交換と同時に、周辺をどこまで更新するか?)
・電気工事
・試運転、水圧確認等の作業
※上記作業をするための人件費と日数
この見積もりの精度が低いと、いざ工事を始めてみると「ポンプの搬出・搬入にクレーンが必要だった」「配管が劣化していてポンプ交換と同時にやった方が効率が良かった」などの問題点が出ることとなり、追加費用がかかってしまうことにもなります。
ポンプ工事業者はどのように選べば良いのか?
大きなポイントは「提案書」
まず業者選びの基準としてひとつのポイントは、見積もりが安いだけではなく、専門的な工事の内容や見積もりの根拠を分かりやすい「提案書」として提示してもらえる会社があげられます。
この「提案書」の内容や説明が、素人にも分かりやすい業者ほど信頼のできる会社ということは言えると思います。
もう一つ重要な点は、見積もりや提案時にはなかなか分かりづらいのですが、「工事現場の対応力」を見極めることです。
商談の最中担当の営業は「ネガティブなこと」はなかなか言いませんし、実際に工事の現場を経験したことがない担当者は、見積もり根拠の明快な説明ができないこともあります。このような場合「実際の工事でよく問題となることはなんですか?」とか「予め住民が注意するべきことはありますか?」などと具体的な質問をしてみると、その担当者の経験値がわかるかも知れません。多くの現場を経験している業者の担当者であれば、他の現場で経験した具体的な事例の話しをしてもらえるはずです。
工事が始まると、現場では想定をしていないイレギュラーなことが多く起こります。その対応力は、最終的な工事の「請求金額」にも関わることになりますので、発注側も注意や確認が必要です。
★★★もっと知りタイム★★★
見積金額に大きく影響をする、依頼する会社の「立ち位置」


ポンプ工事の見積もり金額にも大きく影響をする点として、依頼先の業者が工事全体の中でどのような「立ち位置」なのかが重要なポイントとなります。
業界内の「商習慣」も背景にありますが、建設業界は「元請け」「下請け」の関係があり、その関係性の中で工事を進めることは多くのメリットもある一方、「コスト高」になる傾向はあること知っておくべきでしょう。
管理組合の窓口になっている管理会社は、水道工事だけではなく総合的なマンション管理を行なっているため、実際に工事を担当する業者の作業内容まで詳しくわからない担当も多く、現場で混乱することも良くみられます。
また工事業者も「運搬」「配管」「電気」「土木」などの「専門分野」がありますので、現場の管理する会社の「段取力」が必要です。
発注側がそのような背景やそれぞれの会社の役割を理解したうえで総合的に判断して依頼先を決め、必要な知識を得た上で現場の作業員と直接話しができるような環境づくりが、設備工事成功の近道と言えるかも知れません。
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