マンション水道設備の老朽化サインとは?給水・排水トラブルの原因と調査・対処法を徹底解説

公開日: 2024/08/17  / 更新日: 2026/05/29

マンションの水道設備は、普段あまり意識されることのない設備のひとつです。しかし近年、八潮市などで発生した道路陥没や水道インフラ事故をきっかけに、「水が突然使えなくなるリスク」への関心が高まっています。

こうした断水事故は公共インフラだけの問題ではありません。マンション内部の給水設備が老朽化することで、漏水や断水などのトラブルが発生するケースも少なくないのです。

特に築年数が経過したマンションでは、給水管やポンプ、受水槽などの設備劣化が進んでいる可能性があります。大きな事故を防ぐためには、定期的な調査・診断と、適切なタイミングでの更新工事が重要です。

今回は、マンションで断水が発生する原因から、水道設備の老朽化診断方法、更新時期の目安まで詳しく解説します

アイコンこの記事のポイント

【マンションの断水は外部要因と内部要因の両方で発生】

道路陥没や本管事故などの公共水道トラブルだけでなく、マンション内の給水管腐食やポンプ故障、受水槽設備の不具合によっても断水は発生します。

【給水設備の老朽化診断は段階的に行うことが重要】

修理履歴確認や目視点検などの簡易調査から、水圧試験・水質検査、さらに内視鏡調査や抜管調査まで、設備状況に応じた調査方法があります。

【長期モニタリングによる予防保全も有効】

データロガーを活用した流量・圧力監視によって、漏水兆候や異常を早期に把握し、中長期的な設備管理につなげることができます。

【更新時期の見極めが事故防止につながる】

耐用年数だけでなく、赤水・漏水・水圧低下・修理頻度の増加などの劣化症状を踏まえて、給水設備の更新や更生工事を検討することが重要です。

【「壊れてから対応」ではコストも影響も大きい】

断水や漏水事故は住民生活へ大きな影響を与えます。定期的な診断と計画的な更新が、トラブル防止と修繕費の平準化につながります。

マンションの断水にはどのような原因があるの?

マンションで発生する断水には、「マンション外の問題(公共水道設備の事故)」と「マンション内部の設備トラブル」の2種類があります。

マンション外のトラブル(公共水道設備の事故)

断水は、マンション内部だけでなく、公共水道設備側のトラブルによって発生することがあります。

例えば、水道本管の破損や道路陥没事故、地域一帯の断水、地震や台風などの災害などが代表的です。

特に老朽化した水道管は、地中で腐食が進行しているケースもあり、突然の漏水や道路陥没につながることがあります。こうした事故は広範囲に影響を及ぼすため、マンションでも一時的に水が使用できなくなる場合があります。

マンション内の設備トラブル

一方で、マンション内部の設備トラブルによって断水が発生するケースもあります。代表的なのが、給水管の腐食や漏水、給水ポンプの故障、受水槽設備の不具合、停電によるポンプ停止などです。

築年数が経過したマンションでは、給水管内部にサビやミネラル分などが蓄積し、水圧低下や漏水の原因になることがあります。また、ポンプ設備の経年劣化によって、突然給水が停止するケースも少なくありません。

老朽化した設備は断水リスクを高める

給水設備は日常生活の中で直接目にする機会が少ないため、劣化が進んでも異常に気づきにくい特徴があります。しかし実際には、配管内部の腐食や接続部の劣化、ポンプ性能の低下などが徐々に進行している場合があります。

そのため、「まだ使えているから大丈夫」と判断するのではなく、定期的な調査・診断によって設備状態を把握することが重要です。

水道(管)設備の老朽化は、どうやって調べるの?

マンションの給水設備調査には、簡易的な点検から専門的な診断まで、さまざまな方法があります。設備の状態や築年数に応じて、段階的に調査を行うことが重要です。

1. 簡易的な調査・診断方法

一般的に行われる劣化調査の一つとして、「水道メーター周辺の抜管調査」があります。マンションの専有部と共有部の境界にある水道メーター周辺配管は、異なる材質が接続されていることが多く、劣化が進みやすい部分です。ここで管を切り取り、内部のサビ具合や消耗の程度を調査することで、マンション全体の劣化状況を推測することが可能です。

2. 詳細な調査・診断方法

より正確に劣化状況を把握するために、内視鏡調査抜管調査を行うケースもあります。

内視鏡調査では、カメラを配管内部へ挿入し、サビの発生状況やミネラル分などの堆積、腐食範囲などを直接確認します。また、抜管調査では実際に配管の一部を取り外して調査を行うため、配管肉厚や腐食進行度、配管寿命などをより詳細に分析することが可能です。

更新工事が必要かどうかを判断する際には、こうした精密調査が重要になります。

長期モニタリングによる監視も有効

近年では、データロガーを活用した長期モニタリングを導入するケースも増えています。

データロガーとは、流量や圧力などを継続的に記録する監視機器のことです。夜間流量の変化や異常な水使用、圧力変動などを中長期的に監視することで、漏水兆候や設備異常を早期に発見しやすくなります。

一時的な点検だけでは発見しにくい異常も把握しやすくなるため、予防保全の観点からも有効な管理方法といえるでしょう。

給水設備の更新や更生工事をするタイミングの目安は?

設備調査を行った後は、「いつ更新するべきか」を判断することが重要になります。

耐用年数を考慮する

給水設備には、それぞれおおよその耐用年数があります。給水管や給水ポンプ、受水槽設備などは、使用環境や材質によって劣化スピードが異なりますが、築20〜30年以上経過しているマンションでは更新検討が必要になるケースも少なくありません。

長期修繕計画と合わせて、設備状況を定期的に確認することが重要です。

劣化症状が現れたとき

耐用年数だけでなく、実際の劣化症状も重要な判断基準です。

たとえば、赤水が出る、漏水が増える、水圧が低下する、修理回数が増えるといった症状が現れている場合は、設備更新や更生工事を検討するタイミングといえるでしょう。部分補修だけでは対応しきれなくなるケースもあるため、早めの判断が重要です。

給水方式を変更するとき

設備更新とあわせて、給水方式そのものを見直すケースもあります。

たとえば、高架水槽方式から直結増圧方式へ変更することで、維持管理負担の軽減や衛生面の改善、省エネ化につながる場合があります。

設備更新は単なる修理ではなく、マンション全体の設備性能を見直す機会にもなるのです。

まとめ:事故を教訓に、マンションの水道設備を見直すことが重要

水道設備の事故は、ある日突然発生します。

しかも給水設備は普段見えない場所にあるため、劣化に気づかないまま使用され続けているケースも少なくありません。

断水や漏水が発生すると、日常生活への影響だけでなく、修繕費用の増加や階下漏水などの二次被害につながる可能性もあります。

だからこそ重要なのが、「壊れてから対応する」のではなく、定期的な調査・診断によって予防保全を行うことです。

設備状態を正しく把握し、計画的な更新工事を進めることで、マンション全体の安全性や資産価値の維持にもつながります。

マンション給排水トラブルに関するよくある質問(FAQ)

Q マンションの給水設備は何年くらいで更新が必要になりますか?
A

設備の種類や使用状況によって異なりますが、給水管・ポンプ・受水槽などは一般的に20〜30年前後を目安に更新検討が必要になるケースがあります。ただし、実際には劣化状況によって大きく変わるため、定期的な調査・診断を行うことが重要です。

Q 赤水や水圧低下は老朽化のサインですか?
A

はい、代表的な劣化症状のひとつです。

配管内部の腐食やミネラル分などの付着によって、水質悪化や流量低下が発生している可能性があります。放置すると漏水や断水につながることもあるため、早めの点検がおすすめです。

Q 給水設備の調査はどの段階から実施すればよいですか?
A

まずは修理履歴確認水道メーター周辺の抜管調査などの簡易調査から始めるケースが一般的です。
その結果を踏まえ、水圧試験・内視鏡調査など、必要に応じて詳細調査を進めていきます。

この記事の監修者
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。

大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。

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