マンション大規模修繕2回目の違いとは?優先順位の決め方と設備更新の注意点を解説

公開日: 2023/09/10  / 更新日: 2026/06/18

マンション大規模修繕2回目

マンションの共用部における大規模修繕工事は、管理組合と住民にとって非常に大きな課題です。
特に築20年を超えて迎える「2回目の大規模修繕工事」は、1回目とは状況が大きく異なります。建物の劣化が本格的に進行しているだけでなく、住民の年齢層の変化や価値観の違いから利害関係が複雑になり、担当の理事は優先順位や予算の調整に頭を悩まされることになります。
いかにして建築や設備の専門的な情報を集め、住民全体で共有し、納得のいく合意形成を図るかが成功の鍵です。
この記事では、マンションの2回目の大規模修繕工事における「1回目との違い」や、優先順位を決めるポイント、見落としがちな設備更新の注意点について詳しく解説します。

アイコンこの記事のポイント

この記事では、マンションの2回目の大規模修繕工事を成功に導くためのポイントを解説しています。おさえておきたい主な項目は以下の通りです。

【1回目と2回目の大きな違い】

築12年前後で行う1回目は「予防」の意味合いが強いですが、築24年前後の2回目は本格的な劣化に対する「修繕」が必要となり、工事規模も予算も大きくなります。

【合意形成の難易度が上がる】

「バリアフリー化したい」「エントランスを綺麗にしたい」など、住民の資産価値に対する要望が多様化するため、優先順位づけが難航しやすくなります。

【見えない「給排水設備」の先送りに注意】

外壁や防水などの「見える老朽化」は予算が取りやすい一方、配管などの「見えない老朽化」は先送りされがちです。しかし、2回目のタイミングでの給排水設備メンテナンスは必須です。

【足場を活用したコスト削減を検討する】

外壁工事で足場を組むタイミングに合わせて、屋上の「通気管」などの修繕を同時に行うことで、将来的な足場代を節約し、費用対効果を大きく高めることができます。

マンション外観

2回目の大規模修繕工事は1回目とどこが違うの?

一般的にマンションでは、住環境の整備や建物の機能維持を目的に、約12年のサイクルで大規模修繕工事を行います。しかし、1回目と2回目ではその目的や直面する課題が大きく変わってきます。

1回目は「予防」、2回目は「本格的な修繕」

1回目の修繕

築12年前後で行う第1回目の大規模修繕工事は、築年数が比較的浅いため目立った劣化が少なく、「本当に今やる必要があるのか?」と疑問に感じる住民も少なくありません。
この時期は、外壁の塗装や屋上防水の保護、新築時の施工不良の是正など、住民の合意形成が取りやすい「建物を長持ちさせるための予防工事」を中心に絞って行う傾向にあります。

2回目の修繕

しかし、築20年〜24年を過ぎて行う第2回目の大規模修繕工事では、建物の劣化が本格的に表面化します。住民目線でも「ここを直したい」という箇所が増え、専門家から見ても「絶対に修繕するべき」という場所が多くなるため、すべての要望を叶えることは難しく、優先順位をつけて予算配分を調整する必要に迫られます。

住民の要望が多様化し、合意形成が難しくなる

2回目の時期になると、住民の年齢層も上がりライフスタイルも変化しています。そのため、「バリアフリー化を進めたい」「資産価値を下げないためにエントランスを高級感のあるものに改修したい」など、単なる原状回復にとどまらない「グレードアップ(改良)」の要望が多く寄せられます。修繕積立金には限りがあるため、どこに予算を割くかの意見が割れやすく、合意形成が難航する最大の要因となります。

どこを優先するべきか?費用が大きくかかる工事とは

2回目の大規模修繕工事の主な修繕内容

築年数が経つにつれて修繕箇所も増えるため、2回目の大規模修繕工事は工期も長く、予算規模も大きくなります。
主に以下のような修繕内容が対象となります。

  • 建物の保全工事: 屋上防水工事、外壁塗装・タイル補修、シーリング打ち替え
  • 共用設備の更新: 集合郵便受け、掲示板、宅配ロッカーなど金物類の交換
  • インフラ設備の修繕: エレベーターの部品交換・リニューアル、給排水設備(配管やポンプ)の更新
  • グレードアップ工事: エントランス改修、バリアフリー対応、LED照明化など

「予算が取りやすい工事」と「予算が取りづらい工事」

多くのマンションにおいて、最も大きな予算がかかるのは、建物全体に足場を組んで行う「外壁塗装・タイル補修」や「屋上防水工事」です。

外壁や屋根の修繕は、見た目がきれいになり工事の結果が「目に見えて分かりやすい」ため、ある程度の高額な費用がかかっても「建物を守るために仕方がない」と住民の合意が取れやすい(予算が取りやすい)傾向にあります。

給排水設備

一方で、合意が取りづらいのが「給排水設備」などの工事です。建物の中に隠れていて普段は目に見えない設備のため、実際に漏水などのトラブルが起きていないうちは「まだ使えるから」と先送りされがちです。
しかし、水道設備こそ、2回目の大規模修繕工事のタイミングでしっかりとメンテナンスや更新を行うべき最重要インフラです。金属製の水道管は外壁と同様に経年劣化が進んでおり、放置すれば大規模な漏水事故を引き起こし、住環境に甚大な被害をもたらします。

スムーズに合意形成をとるための3つのポイント

専門家のアドバイス

このタイミングに理事になった方たちは、予算の調整や住民の意見集約に大いに悩まされることになりますが、合意形成をスムーズに進めるためのポイントがいくつかあります。

1. セカンドオピニオンなど専門家の意見を取り入れる

素人である住民だけでは、建物の劣化度合いや緊急性を正しく判断できません。マンションを担当している管理会社からの提案や意見は当然として、それ以外の独立した専門業者から「セカンドオピニオン」を聞くことが非常に重要です。客観的かつ技術的な視点から、現在の劣化状況と最適な修繕方法の情報を収集しましょう。

2. 「放置した場合のリスク」を明確に共有する

情報を集めて業者からの提案を受ける際は、「見える老朽化(外壁など)」と「見えない老朽化(配管設備など)」をしっかりと分けましょう。
特に、見えない老朽化の修繕に関しては、「このまま修繕を先送りして放置した場合、どのような事故(漏水や断水など)が起こり、結果的にどれほどの追加費用がかかるのか」という具体的なリスクの説明を受けるべきです。これを住民説明会などで分かりやすく情報開示することで、設備の優先順位に対する住民の理解が深まります。

3. 見積もりの根拠を丁寧に説明できる業者を選ぶ

見積もり説明

工事の見積もりや工事計画は、「素人が見ても納得できる」明瞭なものである必要があります。
見積書の項目が「◯◯工事 一式」「一括」といったどんぶり勘定になっている業者は避け、その内訳と根拠を丁寧に説明できる業者をパートナーに選びましょう。専門用語を噛み砕き、住民からの質問に誠実に答えてくれる「親切なプロフェッショナル」の存在が、理事会の強力なサポートとなります。

足場を有効活用!大規模修繕と同時に行うべき「通気管」の補修

2回目の大規模修繕工事は費用が大きく膨らむため、「まだ使えるから」と設備の修繕を3回目(築36年頃)に先送りしてしまうケースがよく見られます。しかし、これは結果的にコスト増を招く危険な判断です。

費用対効果を最大化する「プロならではの工夫」のひとつに、大規模修繕工事で組んだ「足場」を別の設備の修繕にも活用するという方法があります。

通気管の劣化

通気管補修後

例えば、屋上と外壁の塗装・防水工事を行う際、屋上に設置されている「通気管(排水管の空気の通り道)」も同時に補修することが推奨されます。屋上の通気管は外壁と同様に過酷な風雨にさらされ、内側のサビや劣化が激しく進行しています。
通常、防水業者は管工事を行いませんが、外壁修繕のために組んだ「足場」を利用して設備業者に「通気管の内部コーティング補修」を依頼することで、新たに足場を組む費用を丸ごと節約できます。

この「ついで」の工事を行うことで、将来的に劣化した通気管を根本から交換するために屋上のコンクリートを壊すような大掛かりな工事を防ぎ、排水設備の寿命を劇的に延ばすことが可能になります。

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【まとめ】マンションの設備工事のご相談はサンコウ設備へ

マンションの2回目の大規模修繕工事は、建物の寿命と資産価値を左右する重要なターニングポイントです。限られた修繕積立金の中で最適な予算配分を行うためには、目に見える外壁などの工事だけでなく、「目に見えない給排水設備」の老朽化にしっかりと向き合い、適切な優先順位をつけることが不可欠です。

サンコウ設備では、マンション特有の給排水設備の劣化調査から、足場を活用したコストパフォーマンスの高い修繕プランのご提案まで、管理組合様に寄り添ったサポートを行っております。「設備の修繕を今回の工事に組み込むべきか迷っている」「見積もりのセカンドオピニオンが欲しい」といったご相談や、現場調査・お見積もりは無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

マンションの大規模修繕(2回目)に関するよくある質問

Q 2回目の大規模修繕工事は、築何年目に行うのが一般的ですか?
A

一般的には、1回目の修繕工事から約12年後、つまり「築24年〜26年前後」に実施されるケースが多くなります。ただし、立地環境や1回目の工事内容によって劣化の進行度合いは異なるため、築20年を過ぎた段階で一度専門家による詳細な建物診断(劣化診断)を受けることをおすすめします。

Q 修繕積立金が不足しそうな場合、どう優先順位をつければいいですか?
A

まずは「安全性の確保」と「建物の寿命に関わる箇所」を最優先にします。具体的には、外壁タイルの剥落防止、屋上の防水、そして漏水事故に直結する「給排水設備の更新」です。エントランスの美装化やバリアフリー化などのグレードアップ工事は、予算の範囲内で後回しにするか、段階的に実施するなどの調整が必要です。

Q 住民の意見がまとまらない時の良い解決策はありますか?
A

理事会や管理会社だけで説得しようとせず、外部の専門家(建築士や専門施工業者)を招いて住民説明会を開催するのが効果的です。「なぜこの工事が今必要なのか」「先送りした場合、将来どれくらい修繕費が跳ね上がるのか」という客観的なデータや写真・動画による説明があれば、住民の納得感を得やすくなります。

この記事の監修者
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。

大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。

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