公開日: 2023/06/26 / 更新日: 2026/06/18

マンションにおける「漏水(水漏れ)事故」は、被害に遭った住民の日常生活を滞らせるだけでなく、経済的にも精神的にも大きなダメージを与えます。特に上下階の隣人同士でのトラブルに発展しやすく、居住環境の悪化を招く深刻な問題です。
漏水が起きた場合、その原因が「専有部」にあるのか「共用部」にあるのかで責任の所在が大きく変わりますが、実はマンション漏水事故には「意外な原因」が隠れていることが多々あります。
この記事では、マンションで水漏れが起きる主な原因と責任の所在、そして事故が起きる前に管理組合が主導して行うべき「予防のための劣化調査」について詳しく解説します。
目次
この記事のポイント
この記事では、マンションの漏水トラブルについて、原因の切り分けや管理組合の役割を解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。
【漏水原因の多くは「給湯管の老朽化」】
実は、マンションの漏水事故の9割以上が、2000年以前の建物に多く使われている「銅製給湯管」のピンホール(小さな穴)現象によるものだと言われています。
【責任は「専有部」か「共用部」かで変わる】
個人の部屋を通る配管(専有部)からの漏水は原則として自己責任(個人間での解決)となりますが、マンション全体の問題として捉える必要があります。
【見えない設備の劣化は「他人事ではない」】
1つの部屋で給湯管の漏水が起きたということは、他の部屋でも同じように劣化が進行しているサインです。連鎖的な事故を防ぐ対策が急務です。
【管理組合による事前の「予防・調査」が重要】
事故が起きてから対処するのではなく、管理組合が主導して抜管調査や内視鏡調査を行い、計画的な補修と保険の見直しを進めることが最大の防御策となります。

マンション漏水には「2つの場所」と「3つの原因」がある
水漏れが起きる場所は「専有部」か「共用部」か?

マンションの水漏れ事故が発覚して問題となるケースのほとんどが、上の階の配管の不具合が原因となり、下の部屋の天井や壁に症状(シミや水滴)が出るケースです。
この場合、水が漏れた原因箇所が各部屋の専用配管であれば「専有部」の問題となり、基本的には当事者(住人)同士、あるいは個人の加入する保険で解決をしなくてはなりません。
しかし、マンションの給排水設備は専有部と共用部(縦管など)が複雑に接続されており、事故の内容によっては「共用部」の配管が間接的な原因となるケースもあります。
例えば、修繕によって「給水方式の変更」を行い水圧が上がった結果、老朽化していた専有部の配管が耐えきれずに漏水や赤水を引き起こすなど、マンション全体の問題として考えなくてはならない場合もあります。
漏水を引き起こす「3つの基本的な原因」

漏水事故発生の直接的な原因としては、大きく分けて以下の3つが考えられます。
マンション漏水事故の多くを占める「意外な原因」とは?
9割以上が「給湯管(銅管)の老朽化」によるもの

漏水事故の原因を客観的に明確にすることが当事者間の理解を進める第一歩ですが、一般的にあまり知られていない事実があります。
実は、マンション漏水事故の9割以上は「給湯管の劣化」によるものという報告があるのです。
2000年以前に建てられたマンションの給湯管には、主に「銅管」が使用されていました。銅管は熱には強いものの、長年使用しているとお湯の流れによって発生する「気泡」が曲がり角(エルボ部分)にぶつかり続け、配管の内側から少しずつ削られていきます。
この経年劣化によって生じた「ピンホール(針の穴ほどの極小の穴)」から水が吹き出し、階下への漏水事故に至るケースが非常に多く発生しています。
専有部の事故でも、他の住民にとって「他人事」ではない

基本的に各部屋の「給湯管」は専有部の設備に該当します。そのため、給湯管の老朽化が原因で漏水が起きた場合、やはり責任は個人(当事者間)に帰属してしまいます。
しかし、マンション内で事故がたまたま1か所で発生したとしても、他の部屋でも新築当時の設備をそのまま使っているとすれば、マンション全体の配管で同じように老朽化が進行していることを意味します。
「次はどこの部屋で給湯管に穴が空くか分からない」という時限爆弾のような状況であり、当事者以外の住民にとっても決して「他人事」ではありません。
トラブル前の「調査」と「予防」が管理組合の重要な役割
設備の老朽化は見えないところで進行している


マンションのような集合住宅では、外壁の「ヒビ・割れ目」などは目視で劣化を判断できますが、床下や壁の中に隠れている水道設備は劣化の状態を直接目にすることができません。そのため、どうしても状況の把握や対策が後回しになりやすい傾向があります。
個人に負担を集中させないため、管理組合が主導する


マンションには専有部・共用部の権利関係があるため、漏水事故が発覚して対応を迫られるのは基本的に住民個人になってしまいます。しかし、老朽化による連鎖的な事故を防ぐためには、事故が起きる前にマンション全体で防止策に取り組むことが最も重要です。
「水道設備は、見えないところで劣化が進行する」ことを前提に、できるだけ個人に負担が集中しないよう、管理組合が以下のような施策を計画的に実行しましょう。
- 専門業者による劣化調査の実施: 水道メーター周りの「抜管調査(実際に管の一部を切り取って内部を調べる)」や、「耐圧試験」「内視鏡調査」などを定期的に行う。
- 計画的な補修・更新工事: 調査結果に基づき、給湯管の更新や共用部の修繕計画を立てる。
- 保険の加入・見直し: 万が一の事故に備え、マンション全体で加入している「個人賠償責任保険(特約)」などの補償内容が十分か確認する。
【まとめ】信頼できる業者と連携し、漏水事故を防ぎましょう
築年数や設備の状況に合わせて、事故が起きる前に手を打つことがマンションの資産価値と良好なコミュニティを守る最大の防御策です。
そのためには、管理組合と設備工事業者が、トラブルが起こる前からコミュニケーションを密にとり、良い関係性を築いておくことが欠かせません。
サンコウ設備では、マンションの給排水設備に特化した専門的な劣化調査から、最適な修繕・更新プランのご提案までを一貫してサポートいたします。「うちのマンションの給湯管は大丈夫か?」「調査だけお願いしたい」といった管理組合様からのご相談や、現地調査・お見積もりは無料です。漏水事故の不安を抱える前に、ぜひお気軽にお問い合わせください。
マンションの漏水トラブルに関するよくある質問
Q 専有部の給湯管から水漏れした場合、修理費用は誰が負担しますか?
原則として、その部屋の所有者(個人)の負担となります。また、階下の部屋に被害を与えてしまった場合の損害賠償も個人の責任となりますが、管理組合で加入している火災保険の「個人賠償責任特約」などが適用できるケースも多いため、まずは管理組合や管理会社へ確認しましょう。
Q 給湯管の「ピンホール現象」を防ぐ方法はありますか?
銅管のピンホールは経年劣化と水流の物理的な摩擦によって生じるため、完全に防ぐことは困難です。築20年以上経過している銅製の給湯管を使用している場合は、漏水が起きる前に樹脂管などサビやピンホールに強い新しい材質の配管に交換(更新工事)することが根本的な解決策となります。
Q マンション全体の配管調査はどのように行うのですか?
専門業者が現場に入り、内視鏡カメラを配管内部に入れてサビや劣化具合を確認したり、メーターボックス付近などの配管の一部を実際に切り取って肉厚を測定する「抜管調査」を行ったりします。これにより、外からでは見えない配管の寿命を客観的に診断することができます。

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。
大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。




















