公開日: 2023/12/04 / 更新日: 2026/08/25

マンションの排水管が老朽化すると、最も注意すべきトラブルが「漏水事故」です。ひとたび漏水が発生すると、莫大な修繕費用がかかるだけでなく、階下への被害による住環境の悪化や住民同士の深刻なトラブルへ発展しかねません。
こうした事故を防ぐためには、定期的な点検はもちろん、最適な時期に適切なメンテナンスを行うことが非常に重要です。コストパフォーマンスを高め、マンションの資産価値を守るための排水管改修工事の選び方を分かりやすく解説します。
目次
この記事のポイント
この記事では、マンション排水管の「更新工事」と「更生工事」の違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。
【「更新」と「更生」の根本的な違い】
「更新工事」は排水管を配管ごと新品に交換する工事です。「更生工事」は既存の配管内側を樹脂コーティングして再利用する工事を指します。
【メリット・デメリットの比較】
更新工事は耐久性が高く資産価値の向上につながりますが、費用が高く工期も長くなります。更生工事はコストや工期を抑えられますが、施工後の内部確認が難しく耐久年数にも限界があります。
【最適な改修方法の判断手順】
建物の築年数や配管の劣化状態によって最善の工事内容は異なります。一社だけの提案に頼らず、複数の専門業者から現場調査に基づく提案・見積もり(セカンドオピニオン)を受けることが重要です。

排水設備の「更新工事」と「更生工事」の違いとは?
マンションの排水設備改修における工法は、大きく分けて「更新工事」と「更生工事」の2種類に分類されます。それぞれの概念とアプローチの違いは以下の通りです。
■ 更新工事(配管全体の新品交換)
劣化や損傷が見られる既存の排水管をすべて撤去し、最新の新品配管に交換する工事です。配管の寿命そのものをリセットできる根本的な解決法です。
■ 更生工事(既存配管の塗膜再生)
既設の排水管はそのまま残し、内側を特殊な工法で洗浄・補修した上で樹脂塗料などを流し込み、内側に保護膜を形成して管を再生させる工事です。一般的には「ライニング工法」と呼ばれます。
両者の具体的な比較を以下の表にまとめました。
| 項目 | 更新工事(配管交換) | 更生工事(ライニング) |
|---|---|---|
| 工事概要 | 古い配管を撤去し、新品の配管へ交換する | 既存配管の内部を洗浄し、樹脂塗膜を形成して補修する |
| 耐用年数の目安 | 約30年以上(資材による) | 約10年〜15年程度 |
| 施工範囲 | 配管の全撤去・再配管が必要 | 既存配管を活かした最小限の解体 |
排水管の「更新」と「更生」それぞれのメリット・デメリット
更新工事と更生工事には、費用・工期・耐久性などの面で明確な相違点があります。管理組合様やオーナー様が判断する際は、それぞれの長所と短所をバランス良く把握することが欠かせません。
| 比較項目 | 更新工事 | 更生工事 |
|---|---|---|
| 費用(施工コスト) | 高め(解体・内装復旧費が大きくかかる) | 安め(既存配管を活用するため低コスト) |
| 工期(工事期間) | 長い(生活環境への影響が大きい) | 短い(居住者の負担が比較的少ない) |
| 耐久性・寿命 | 非常に高い(新品になるため長期安心) | 限定的(経年劣化の進行を一時的に遅らせる) |
| 施工品質の確認 | 目視で確実に確認可能 | 配管内部のため確認・検証が困難 |
| 資産価値の向上 | 高く評価される(将来の漏水不安が減少) | 維持にとどまる(将来的な再改修が必要) |
「更新工事」のメリット・デメリット
メリット
資材をすべて新品に取り替えるため、配管の寿命が大幅に伸び、漏水や詰まり事故のリスクを根本から解消できる点が最大のメリットです。最新の耐食性や静音性に優れた配管資材を採用することで設備性能が格段に向上し、将来的なメンテナンスコストを抑えるだけでなく、マンション全体の資産価値向上にも大きく寄与します。また、新しい配管を直接目視して施工できるため品質管理が確実であり、向こう数十年にわたる長期修繕計画においても大きな安心感を得ることができます。

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マンションの資産価値向上
デメリット
全面的な配管交換工事となるため、工事費用が高額になることと工期が長くなることが主なデメリットです。壁や床の解体・内装復旧作業が伴うことから、解体音や振動、断水時間の長さなど居住者様の生活環境に相応の負担がかかる点にも注意しなければなりません。さらに近年は資材高騰や人件費の上昇が続いており、従来の長期修繕計画で試算していた予算を超過してしまう事例も増えています。
「更生工事」のメリット・デメリット
メリット
既存の配管をそのまま利用するため、壁や床の大掛かりな解体工事を行う必要がありません。更新工事と比較して施工費用を大幅に抑えることができるため、修繕積立金の予算に制限がある場合に非常に有効な選択肢となります。また、施工期間が短いため工事に伴う騒音や制限時間を最小限に留められ、居住者様の日生活への負担を軽減できるのも大きなアドバンテージです。
デメリット
配管の内部という目に見えない場所を特殊技術で加工するため、塗膜のムラや密着度といった施工後の精度・品質をすべての箇所で目視確認することができません。配管が複雑に曲がり組まれている構造では「確実に更生されているか」の検証が難しく、錆による肉厚低下が激しい配管には適用できないといった制限もあります。更新工事に比べると施工後の耐久年数が短い点にも配慮が必要です。
「更新工事」と「更生工事」の見極め方法
排水管改修において「更新」すべきか「更生」すべきかを正確に見極めるためには、以下の3つのポイントを押さえて検討を進めることが成功の近道です。
1. 専門業者へ現地調査を依頼する
まず最初に行うべきは、専門的な知見を持つ設備施工会社に「現場調査」を依頼し、詳細な「工事提案書」と見積もりを提出してもらうことです。マンションの築年数や配管の劣化程度、建物内における設備の配管設計構造によって、検討すべきポイントや最適なアプローチが大きく異なるためです。
2. 建物の状況に合わせた「治療方針」を比較する
給排水設備工事は、医療における「内科や外科の診療・治療」によく例えられます。人間の体内と同じように普段は目に見えない部分を修繕するため、工事へのアプローチは依頼する施工会社や担当者の考え方・実績によってさまざまな提案が存在します。
手術で患部をすべて新品に移植・全交換(更新工事)することを推奨する専門家もいれば、施工費用や住環境への負担を考慮して薬物治療のような延命(更生工事)を提案する病院・業者もあります。建物の将来計画に合わせた治療方針を見極めることが重要です。
3. 複数の提案を受ける「セカンドオピニオン」を活用する
病気の重大な治療を選択する際に「セカンドオピニオン」が欠かせないのと同様に、設備工事においてもできるだけ多くの業者から現地調査に基づく提案や見積もりを受けることをおすすめします。一社だけの見解に頼らず複数の比較対象を持つことで、客観的な判断の精度が格段に上がり、納得のいく改修プランを選択できるようになります。
あわせて読みたい:マンション排水管改修工事の種類と具体的な施工手順を解説
【まとめ】マンションの状況に合わせた最適な排水管改修計画を
マンション排水管の改修工事は、設備を根本から新品にして資産価値を高める「更新工事」と、コストや工期を抑えてスマートに延命を図る「更生工事」のそれぞれに利点と留意点があります。
どちらか一方だけが正解というわけではなく、配管の現在の劣化度合い、将来の修繕積立金の状況、居住者様の意向などを総合的に鑑みて最適な工法を選択することが大切です。
株式会社サンコウ設備では、30,000件以上の豊富な施工実績に基づき、現場調査から最適な工法のご提案・施工までを自社一貫の「工事直販」で承っております。「現状の配管状態を診断してほしい」「更新と更生で迷っている」という管理組合様・オーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
排水管改修工事に関するよくある質問
Q 更新工事と更生工事では費用にどのくらいの差がありますか?
建物の規模や配管の配置状況によって異なりますが、解体や内装復旧費用が発生しない分、一般的には更生工事の方が更新工事よりも費用を安く抑えることができます。ただし配管の錆や穴あきが深刻な場合は更生工事が施工できず、更新工事が必要となるケースもあります。
Q 更生工事を行なった場合の耐用年数はどのくらいですか?
施工法や塗料の種類、施工前の配管の状態にもよりますが、おおむね10年〜15年程度の延命効果が見込まれます。一方、配管全体を新品に交換する更新工事を行えば、最新の資材により30年以上の長期的な耐久性を確保できます。
Q 工事期間中の断水や排水制限はどのように調整されますか?
工事期間中は、一時的な断水や特定の時間帯における排水の制限が発生します。弊社では居住者様への事前周知と細やかな説明を行い、作業日ごとの工程を厳密に管理することで、生活への影響を最小限にとどめるよう調整いたします。

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。
大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。




















