公開日: 2024/03/10 / 更新日: 2026/08/25

受水槽や高架水槽などに貯水せず、水道本管の水圧を利用して各家庭に直接給水する「直結給水方式」は、衛生面や維持費の観点から多くのメリットがあると言われています。
しかし、既存の受水槽設備を撤去して増圧ポンプを設置する変更工事には、本当にメリットばかりでデメリットはないのでしょうか?実際の工事を多く手掛ける水道設備工事業者の視点から、技術面や費用対効果を含めて検証します。
目次
この記事のポイント
この記事では、直結給水方式への変更におけるメリット・デメリットと事前の注意点を解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。
【直結給水方式の主なメリット】
貯水槽を通さないため安全で新鮮な水が供給され、受水槽の点検・清掃コスト削減や跡地スペースの有効活用が実現します。
【変更時のデメリットと不安要素】
切り替えに伴う初期工事費や増圧ポンプの点検費用が発生するほか、災害時の蓄水機能がなくなる点の対策が必要です。
【事前確認が必要な技術的注意点】
水道引き込み管の口径確認、既存配管の耐圧性能チェック(漏水対策)、水道メーター周りのユニット化が必要かどうかの確認が重要です。

直結給水方式に変更する3つのメリット
既存の受水槽や高架水槽を利用する方式から直結給水方式へ変更を進めるにあたり、賛成派の多くが挙げる代表的なメリットを3つ解説します。
1. 衛生的で新鮮な水が常に供給される
最大のメリットは、「水道水をタンクに貯めずに直接届けるため、常に新鮮で安全な水が供給される」という点です。
受水槽の管理不全による水質悪化の心配がなくなり、衛生面が大幅に向上します。この理由は非常に説得力があり、変更を決めた多くのマンション管理組合様において、住民様の合意形成を得る一番のポイントとなっています。
2. 受水槽の清掃やメンテナンス費用を削減できる
経済的なメリットとして、将来的に継続発生するランニングコストの削減が挙げられます。
- 点検・清掃費の削減:受水槽の定期的な点検や清掃費用が不要になります。
- 修繕・交換費の不要化:受水槽本体の経年劣化に伴う高額な修理・交換費用がかからなくなります。
- 電気代の節約:効率的な給水システムへの変更により、ポンプ稼働にかかる電気代の節約につながります。
3. 受水槽撤去後のスペースを有効活用できる
これまで敷地内で大きな場所を取っていた受水槽タンクを撤去することにより、その跡地を有効活用できるようになります。駐車場や駐輪場の増設、あるいは防災資材の置き場としてスペースを再利用できる点も魅力的な変更理由の一つです。
直結給水方式に変更するデメリットと不安要素
一方で、給水方式の変更に慎重な意見や懸念の声もあります。検討時に確認しておくべきデメリットや不安要素について解説します。
1. 切り替え工事費や新しい設備の維持費がかかる
慎重派の主な意見は、「本当に十分なコストメリットが得られるのか?」という点です。
受水槽の点検や清掃代がなくなっても、新設する増圧ポンプの定期点検費やメンテナンスコストが継続して発生します。初期の切り替え工事費を含めたときに、具体的な費用対効果が見えにくいという心配の声も存在します。
2. 災害時に水を蓄えておく機能がなくなる
受水槽方式の場合、万が一地震などで断水した際にもタンク内に残った水を一時的な非常用水として利用できる利点があります。直結給水方式に変更すると貯水機能がなくなるため、「災害時の水確保」について懸念を示されるケースもあります。
【一目でわかる】直結給水方式のメリット・デメリット一覧
ここまで解説した直結(増圧)給水方式の利点と、注意しておくべき懸念点を一覧表に整理しました。導入検討時の比較にご活用ください。
| 項目 | 直結給水方式のメリット | 留意すべきデメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 衛生面・水質 | 水道管から直接給水するため常に新鮮で安全な水が使える | 水質悪化のリスクはないが、本管断水時は即時断水となる |
| 維持管理費 | 受水槽の清掃・点検代や将来のタンク交換費用が一切不要 | 新設した増圧ポンプの定期点検費(年1回程度)が発生する |
| 敷地・設備 | 受水槽撤去後のスペースを駐車場等へ有効活用できる | 引き込み管の掘削やメーター交換などの初期工事が必要な場合がある |
| 災害時の機能 | ポンプ停止時も本管水圧の届く階数までは給水可能なケースがある | タンク貯留機能がないため、非常用備蓄品などの別途対策が必要 |
事前確認が必要な3つの技術的注意点
直結(増圧)給水方式への改修工事を検討する際、実際の「工事技術面」から事前に必ず確認・検証すべき重要な注意点が3つあります。
1. 引き込み管の口径変更と道路掘削の必要性
マンション全体の水圧と水量を確保するために、水道本管からの引き込み管を太くする工事が必要となるケースがあります。道路を掘り返す大掛かりな工事が発生するかどうかにより、工期や費用が大きく変わるため事前の調査が欠かせません。


2. 既存配管の耐圧性能と漏水リスクのチェック
直結増圧ポンプを設置すると、館内の配管に強い水圧がかかるようになります。経年劣化が進んだ配管のマンションでは、水圧の変動によって水漏れ事故が発生するリスクがあるため、事前に配管の耐圧テストを行って健全性を確認する必要があります。


3. 水道メーター周りの「メーターユニット」改修が必要か
水圧の変化は各世帯の水道メーター周りの配管にも影響を及ぼします。自治体の基準によっては「メーターユニット」への変更工事が指定される場合があり、工事予算に大きく影響するため行政窓口への事前確認が必要です。

【まとめ】直結給水方式への変更は事前調査と総合的な判断が成功の鍵
直結(増圧)給水方式への切り替えは、「新鮮で衛生的な水が飲める」「受水槽の清掃やメンテナンスの手間を削減できる」といった非常に大きなメリットがあります。一方で、引き込み管の掘削や既存配管の耐圧性、メーターユニット化の有無によって工事費用や条件は建物ごとに異なります。
単に受水槽の清掃代が浮くという一面だけでなく、建物全体の配管状態や維持管理コストを含めて専門業者による現地調査を行い、総合的な費用対効果を見極めて判断することが大切です。
サンコウ設備では、現地調査や配管の耐圧テストから行政との事前協議、最適な施工プランのご提案まで一貫して対応しております。「うちのマンションでも直結給水に変更できるか確認したい」「まずは現地を見て見積もりを出してほしい」など、ご検討中の場合はぜひお気軽にご相談ください。
給水方式の変更に関するよくある質問
Q どんなマンションでも直結(増圧)給水方式に変更できますか?
建物の階数や戸数、周辺の水道本管の水圧、既存配管の状態によって設置条件が異なります。また、配管の劣化状況によっては事前に修繕工事が必要となるケースもありますので、まずは専門業者による現場調査をおすすめします。
Q 直結給水工事の施工期間中、断水は発生しますか?
配管の接続替え作業や増圧ポンプの設置切り替え時に一時的な断水が発生します。ただし、居住者様の生活への影響を最小限に抑えるため、事前のご案内を徹底し数時間程度の短時間断水で施工を完了できるよう調整して進めます。
Q 増圧ポンプ設置後の定期メンテナンスはどの程度の頻度で必要ですか?
法令や各自治体の指導基準に基づき、年1回以上の定期点検が推奨されています。ポンプの突発的な故障や断水トラブルを未然に防ぐためにも、定期的な点検業務をおすすめしています。

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。
大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。




















