地震でマンションが断水したらどうなる?給水方式の違いと災害対策

公開日: 2023/09/18  / 更新日: 2026/09/29

地震などの災害時におけるマンションの給水設備

水道設備は、地震などの災害時において命と衛生環境を守るために最も重要となるライフラインのひとつです。

マンションの給水設備は戸建て住宅とは異なるシステムで運用されているため、震災が発生した際にはマンションの構造や給水方式によって被害の状況や水が出る・出ないの対応が大きく異なります。

大きな地震が発生した際に慌てず冷静に対応できるよう、お住まいのマンションの給水設備がどのような仕組みになっているのかを今一度確認し、「もしも」の時の備えを整えておきましょう。

アイコンこの記事のポイント

この記事では、大地震などの災害時におけるマンション給水設備の仕組みと注意点を解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。

【給水方式によって震災時の断水・停電の影響が異なる】

「直結給水」か「受水槽・高架水槽方式」かによって、地域断水時や停電時に水が使えるかの条件が大きく変わります。

【受水槽の水を守り公平に使うためのルールが不可欠】

一斉の汲み置きによる枯渇を防ぐため、事前の使用マニュアル作成や住民間での運用ルールの共有が重要です。

【緊急遮断弁や受水槽からの取水方法を事前確認する】

震度5相当で作動する「緊急遮断弁」の仕組みや、手動で水を取り出すためのカギの管理方法などを平時から把握しておく必要があります。

マンションの給水設備と震災リスク

大きな震災の時、マンションの給水設備はどうなるの?

大地震の影響で道路下の公共水道本管からの供給がストップ(地域断水)した場合、お住まいのマンションの「給水方式」によって水の出方は大きく異なります。

受水槽を経由せずに直接配管で水を届ける「直結給水方式」を採用しているマンションでは、水道本管が止まると同時に各住戸への水供給もストップし、近隣の戸建て住宅と同じ状況になります。一方、「受水槽」や「高架水槽」を備えたマンションであれば、本管が断水した後であってもタンク内に残っている水を一時的に利用することが可能です。

以下の比較表で、マンションで採用されている代表的な給水方式と、地域断水や停電が発生した際の影響の違いをご確認いただけます。

給水方式地域の断水時停電発生時災害時の特徴
直結給水方式
(直結直圧・増圧ポンプ)
即時ストップポンプ停止で中断
(低層階のみ出ることあり)
常時新鮮な水が飲める反面、断水時の備蓄機能はありません。
受水槽+高架水槽方式タンク分は利用可能高架水槽内の水は重力で出水可能停電しても高架水槽の残量分は出ますが、汲み上げ不可になると枯渇します。
受水槽+加圧ポンプ方式タンク分は使用可能即時ストップ受水槽に水があっても、停電でポンプが止まると手動抽出が必要になります。

受水槽と給水設備 ただし、受水槽や高架水槽があるマンションであっても、無条件で水が使い続けられるわけではありません。タンク内の水を正常に利用できるのは、あくまでトラブルが発生していない「条件付き」の場合に限られます。

断水時に受水槽の水を利用するための条件

受水槽に水が溜まっていても、地震の揺れそのものや二次災害によって設備トラブルが発生すると給水は止まってしまいます。具体的には、以下のようなトラブルが起きないことが水を使える条件となります。

  • 受水槽本体や配管の損壊がないこと:大きな揺れによってタンク本体が破損したり、配管の継体が破断して水が外部へ流出していないこと。
  • 停電による給水ポンプの停止がないこと:停電によって受水槽から屋上の高架水槽や各家庭へ水を汲み上げる電動ポンプが停止していないこと。

周辺は水が出ているのに「マンション内だけ孤立断水」するケース

このように、公共の水道本管が無事で近隣の戸建て住宅では水が出ている状態であっても、「マンション内部の停電や給水ポンプの故障によって、マンション内だけが断水してしまう」という孤立断水の事態が起こり得ます。

また、本管の水圧を利用する直結給水などの場合、停電で増圧ポンプが止まっても本管の水圧だけで低層階のみ給水できるケースもあります。そのため、大型マンションでは「居住している階数」によっても水が出る・出ないの対応が分かれます。

「受水槽」や「高架水槽」の水は緊急時に役立つのか?

1. 条件が揃えば断水・停電時も一時利用が可能

受水槽や高架水槽を設置しているマンションでは、水道本管が断水しても停電していなければタンクに留まった水を使えます。また、仮に停電してポンプが停止していても、タンク下部のバルブ等から直接手動で水を取り出せれば、一時的な非常用水として大変役立ちます。

給水設備の点検

貯水タンク

2. 住民が一斉使用すると即座に水が枯渇

一方で注意が必要なのが、大地震の直後に「多くの住民が一斉にバスタブやポリタンクへ大量の水を溜め始めてしまうこと」です。

多数の住戸で一斉に水を使うと受水槽はあっという間に枯渇し、早い者勝ちとなって住民間で不公平が生じる問題が起きてしまいます。

非常時にもマンション全体で計画的かつ公平に水を使えるよう、あらかじめ管理組合で水利用制限のマニュアルなどを策定し、普段から共有しておくことが欠かせません。

災害時「受水槽」の水を公平に分配するための方法とは?

1. 緊急遮断弁による貯留水の自動確保

緊急遮断弁の仕組み マンションによっては、大きな地震が発生した際に自動で給水バルブを閉鎖する「緊急遮断弁」が設置されています。

緊急遮断弁は「震度5相当」以上の揺れを感知すると自動的に作動し、受水槽から各住戸へ繋がる配管のバルブを瞬時に閉鎖します。これにより、配管破断による水漏れを防ぐだけでなく、居住者の一斉使用による急激な減水から貯留水を保護し、受水槽内に非常用の生活用水を確実に確保できます。

2. 応急給水車到着までの計画的な水分配

応急給水・給水車 緊急遮断弁などでタンク内の水を保護できれば、長期断水時でも水道局の応急給水車が到着するまでの数日間、確保した水をマンション内で計画的に分配・利用できるようになります。

ただし、手動で水を取り出すには「受水槽室のカギ」やタンク下部水栓(ドレンバルブ)の操作手順が必要です。いざという時に混乱しないよう、平時から管理組合やメンテナンス業者と確認しておきましょう。

3. 個人備蓄の整備と高層階への搬送対策

災害への備え 高層マンションの場合、停電でエレベーターが止まると「1階の受水槽から自宅まで階段で水を運ぶ」作業は極めて過酷な負担となります。

こうした状況を考慮し、どの給水方式であっても各家庭で「1人1日3リットル×3日〜7日分」の飲用水や非常用トイレを各自備蓄しておくことが推奨されます。

お問い合わせバナー

【まとめ】災害に強いマンションづくりは給水設備の正しい把握から

地震などの大きな災害が発生した際、マンションの給水設備は「直結給水」か「受水槽・高架水槽方式」かによって、断水や停電時の影響が大きく異なります。

受水槽があるマンションであっても、停電によるポンプ停止や住民の一斉汲み置きによる水枯渇といったリスクがあるため、緊急遮断弁の運用や非常時の利用ルールの作成など、事前の備えが欠かせません。

「自社のマンションの給水方式や災害リスクを把握したい」「緊急遮断弁の設置や給水設備の点検・改修を検討している」という管理組合様・オーナー様は、給排水工事の専門業者である株式会社サンコウ設備までお気軽にご相談ください。

災害時のマンション給水設備に関するよくある質問

Q 停電するとマンションの水は完全に止まってしまいますか?
A

給水方式によります。受水槽から電動ポンプで汲み上げる方式の場合、停電するとポンプが動かず水が止まるケースが多いです。ただし、直結給水や低層階の場合は、水道本管の残留水圧によってそのまま水が出ることもあります。

Q 「緊急遮断弁」とはどのような役割を持つ設備ですか?
A

震度5相当以上の強い地震を感知した際、自動的に受水槽の出口バルブを遮断する防災装置です。配管破断による漏水防止や、住民が一斉に汲み置きすることによる水の枯渇を防ぎ、受水槽内に非常用の生活用水を確保します。

Q 受水槽の水を災害時に活用するために、平時から準備すべきことは?
A

受水槽室のカギの保管場所や、タンクから直接手動で水を取り出す操作手順を管理組合内で共有しておくことが必須です。また、非常時に水の使用制限や公平な分配を行うためのマニュアル・防災計画を策定しておきましょう。

この記事の監修者
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一
株式会社サンコウ設備 代表取締役 浅川 浩一

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。

大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。

関連記事

ご相談・お見積もり無料