公開日: 2023/08/28 / 更新日: 2026/09/28

マンション給水管の劣化に伴う修繕工事では、配管の場所や劣化の程度に応じて「どのような工法を選び」「どこまで工事を行うか」といった判断を管理組合内でしっかり話し合う必要があります。
近年は設備の延命(長寿命化)を図るため、配管を丸ごと交換せずに再生させる「更生工事」が注目を集めていますが、具体的なメリット・デメリットはどこにあるのでしょうか?本記事では、給水管の更生工事の仕組みや更新工事との違い、選定時の注意点について分かりやすく解説します。
目次
この記事のポイント
この記事では、マンション給水管の更生工事と更新工事の違いや、代表的な工法・注意点を解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。
【給水管の寿命と2つの修繕方法】
給水管の耐用年数は約30年です。既存の配管を活かして再生する「更生(リフォーム)」と、新品に交換する「更新(建て替え)」の2種類があります。
【更生工事の主なメリット】
配管を丸ごと交換する更新工事に比べ、費用を抑えて工期を短縮できます。専有部では壁や床を壊さずに施工できるケースが多いです。
【更生工事の注意点とデメリット】
サビで配管に穴が開いている場合や、枝分かれの多い場所には向かないことがあります。事前の入念な現場調査と施工業者の技術力が重要です。

給水管修繕の判断基準:「更生工事」と「更新工事」の違い
給水管の寿命
給水管の寿命は、使われている管の材質やご家庭での使用量によって異なりますが、概ね30年が目安と言われています。国土交通省のガイドラインでも築後25年頃から「対策が必要」と記載されており、この時期から修繕の準備や話し合いを始めるのが理想的です。
給水管の2つのメンテナンス方法
給水管のお手入れ・修繕には、大きく分けて以下の2つのアプローチがあります。
- 更新工事(取り替え):古い配管をすべて撤去し、新品の配管に取り替える工事です。家に例えると「建て替え」のようなイメージです。
- 更生工事(再生):今の配管をそのまま残し、内部を掃除してコーティングし、キレイに蘇らせる工事です。家に例えると「リフォーム」にあたります。
「更生工事」は「更新工事」に比べて工事期間が短く、費用を安く抑えられるのが最大のメリットです。配管のサビ具合や、将来の修繕予算にあわせて賢く検討したい選択肢です。
| 項目 | 更生工事(再生) | 更新工事(交換) |
|---|---|---|
| イメージ | 配管のリフォーム(既存利用) | 配管の建て替え(新品交換) |
| 費用・工事期間 | 安くて短い | 高くて長くなりやすい |
| 部屋の壁や床 | 壊さずに工事できる(一部除く) | 壁や床を剥がして復旧する工事が必要 |
| 長持ちする期間 | 約10年ほど寿命が延びる | 30年以上新品同様に長持ちする |
給水管の更生工事とは?代表的な2つの工法
更生工事にはいくつか方法がありますが、代表的なのが「パイプライニング工法」と「反転工法」です。配管の太さや設置されている場所によって使い分けます。
❶ パイプライニング工法(主に各部屋の中の細いパイプ向け)
更生工事の中で一番よく使われている方法が「パイプライニング工法」です。


※写真はイメージです
パイプライニング工法は、長年溜まった赤サビや汚れを研磨して落としたあと、塗膜を圧縮空気で均一に塗布・乾燥させてコーティング層を形成する技術です。
配管内面に防食塗膜を作ることで、水と金属が直接触れなくなり、新しいサビや赤水の発生を防ぎます。キッチンや浴室など、各ご家庭の専有部にある細めの配管(枝管)で多く採用されています。
❷ 反転工法(主にマンション共用部の大きな縦パイプ向け)
マンションの各階へと水を送る、共用部の大きな縦の配管(立管)でよく使われるのが「反転工法」です。
反転工法は、熱硬化性樹脂を含浸させたチューブ状のライナー材(補修用繊維)を、空気圧や水圧を利用して配管内部へ裏返しながら挿入していく工法です。
挿入後に加熱して樹脂を硬化させることで、古い配管の内側に頑丈な新しいパイプを作り出します。配管自体の強度を補強できる非常に優れた方法ですが、各部屋へ分岐している部分の「穿孔処理(せんこうしょり=ふさがれた枝管の穴を内側から削って開き、水の通り道を確保する作業)」には専門職人の高度な技術を要します。
【比較表】パイプライニング工法 と 反転工法 の違い
| 工法名 | パイプライニング工法 | 反転工法 |
|---|---|---|
| 施工する場所 | 部屋の中(キッチン・お風呂などの細いパイプ) | マンション共用部(各階へ水を送る大きな縦パイプ) |
| 作業方法 | サビを削り落とし、内側に特殊な樹脂を塗りつける | 樹脂をしみ込ませたチューブを裏返しながら密着・硬化させる |
| 特長・強み | 細いパイプや曲がり角のある配管も施工しやすい | 既存管の中に新しい樹脂管を作るため強度が高くなる |
| 注意点・課題 | サビが進みすぎていると研磨時に穴が開くリスクがある | 分岐箇所の穿孔処理(穴あけ作業)に高度な技術が必要 |
給水管を「更生」するメリットとデメリット
【メリット1】少ない予算で水道設備を「10年長持ち」させられる
更生工事の最大のメリットは、パイプの内側を守る新しい膜を作ることで、配管の寿命を約10年間引き伸ばせる点です。新品に全部取り替える「更新工事」に比べて工事費用がぐっと安くなるため、修繕積立金を節約しながら効率的に設備を維持できます。
【メリット2】部屋の床や壁を壊さずに工事できる
部屋の中の配管を新品に取り替える(更新する)場合は、キッチンや洗面所などの床や壁を一度剥がす大がかりな工事が必要です。しかし更生工事なら、配管の入り口と出口から作業ができるため、室内を壊さずに施工できるケースが多く、住んでいる方の負担やストレスを大幅に減らせます。
【デメリット】ボロボロすぎる配管には使えないことがある
注意が必要なのは、サビや腐食がかなり進んでしまっている配管です。内部のサビを落とそうと削った瞬間に、薄くなった配管に穴が開いてしまい、更生工事ができなくなることがあります。
また、複雑に枝分かれしている配管など、場所によっては更生工事が向かないケースもあります。更生工事を選ぶ前には、管内カメラなどを使った事前の詳しい調査が欠かせません。
【まとめ】給水管の状況に合わせた最適な修繕工事の選択を
マンションの給水管修繕において、「更生工事」は予算と工事期間を抑えつつ、配管を約10年延命できる非常にお得なメンテナンス方法です。しかし、配管のサビ具合や形状によっては、新品に取り替える「更新工事」を選んだほうが結果的に安全で安上がりになる場合もあります。
更生工事を成功させるには、事前の正確な現場診断と、実績ある専門業者の施工技術が欠かせません。管理組合様で給水管の修繕をご検討の際は、まずは配管の状態調査からプロへ相談してみることをおすすめします。
株式会社サンコウ設備では、30,000件以上の施工実績に基づき、お住まいのマンションに合わせた最適な修繕プランをご提案いたします。配管の老朽化や赤水でお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
マンション給水管の更生工事に関するよくある質問
Q 更生工事を行うと、給水管の寿命はどのくらい延びますか?
配管の傷み具合や日常の使用状況にもよりますが、更生工事を行うことで一般的に約10年程度の延命(長寿命化)効果が期待できます。
Q 更生工事と更新工事のどちらを選ぶべきか、判断する基準はありますか?
築年数(築20〜25年程度)や配管のサビの進行具合が目安となります。サビが少なく穴が開くリスクがない場合は「更生」、サビでボロボロの場合や築30年以上経過している場合は「更新」が適しています。管内カメラによる事前調査で判断します。
Q 更生工事期間中、マンション全体で断水は発生しますか?
施工する区画や作業の工程に応じて一時的な断水が発生します。ただし、配管を丸ごと入れ替える更新工事に比べると、断水する時間や日数は大幅に短く済みます。事前のスケジュール調整のうえ居住者様へ周知いたします。

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。
大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。




















