公開日: 2023/08/21 / 更新日: 2026/09/28

マンションの給水設備は、「共用部」と各家庭の「専有部」によって管理や所有の責任範囲が分かれています。配管は壁の中や床下に隠れているため普段目にする機会はありませんが、築年数の経過とともに老朽化が進行しています。
結論から申し上げますと、マンションの「専有部」における水道管の維持管理や修繕・トラブル費用は、原則として所有者(居住者)個人の責任・負担となります。
万が一の「漏水事故」などのトラブルが発生した際に焦らず対応できるよう、責任の境界線や工事費用、給水管の寿命と施工方法について日頃から正しく把握しておきましょう。
目次
この記事のポイント
この記事では、マンション給水設備の専有部における責任範囲や費用目安、工事方法、配管の耐用年数を解説しています。おさえておきたい主なポイントは以下の通りです。
【専有部のトラブルは原則として個人責任】
水道メーターより室内の「専有部配管(横引き管)」で発生した漏水や老朽化対策は、基本的に各所有者の責任と費用負担になります。
【配管素材ごとの寿命と交換目安】
築20〜25年を過ぎたマンションでは配管の劣化が進んでいるケースが多く、素材に応じた点検や更新(交換)の検討が必要です。
【工事費用と主な工事方法】
配管の更新工事は内装の復旧作業も含めてトータル50万〜100万円程度が目安です。配管を丸ごと新しくする「更新工事」が一般的です。

マンション水道設備の「専有部」のトラブルは誰の責任?
【結論】原則として「各部屋の所有者個人」の責任
マンション水道設備の専有部で発生したトラブルや劣化への対応は、原則として「その部屋の所有者(区分所有者)」個人の責任となります。
トラブルが発生した際の現場調査費用や配管の修繕・交換工事費は基本的に自己負担です。ただし、加入している保険(火災保険や個人賠償責任特約)の適用可否や、管理規約で専有部配管の改修に関する特記事項がある場合など、状況によって負担額や対応方法が変わるケースもあります。
「共用部」と「専有部」の境界
マンション全体の給水設備は一つのシステムとして機能していますが、管理・修繕の責任範囲は「共用部」と「専有部」で明確に分けられています。
給水管における境界点は、各部屋に設置されている「水道メーター」です。水道メーターから室内へ引き込まれている配管(横引き管)が「専有部」に該当します。


複数世帯で同時に「赤水や濁り水が出る」といった問題は共用部配管に原因があるため管理組合の対応となりますが、専有部配管の劣化による漏水や詰まりなどのトラブルは、原則として所有者個人の責任となります。
保険が適用できるか契約内容を確認する
専有部の漏水による損害には、「自分の部屋(室内や家具)が被害を受けるケース」と「下階の部屋に水が漏れて他人に損害を与えるケース」の2つがあります。どちらも専有部に起因する事故として扱われます。
修繕や復旧に保険が適用できれば金銭的負担を抑えられます。しかし、下階へ被害を与えてしまった際に自室側で「個人賠償責任特約」などの保険に加入していない場合、漏水事故の原因となった部屋の所有者が高額な賠償費・修繕費を負担するリスクがあるため注意が必要です。
給水管の寿命は?耐用年数と素材の種類
中古の分譲マンションを購入する際やリフォームを検討する際は、お部屋の内装だけでなく「見えない配管の劣化状況」を確認することが大切です。
専有部には、飲み水等を供給する「給水管」と、給湯器からお風呂やキッチンにお湯を届ける「給湯管」が配管されています。配管の寿命は築年数や使われている素材によって大きく異なり、国土交通省のガイドラインでは築20〜25年頃から修繕や更新の対策が必要とされています。
配管に使われている主な素材と耐用年数の違いは以下の通りです。
| 配管の素材・種類 | 耐用年数の目安 | 特徴・リスク |
|---|---|---|
| 亜鉛メッキ鋼管 | 15年〜20年 | かつて主流でしたが、サビ(赤水)が発生しやすいため現在は使用が禁止されています。 |
| 硬質塩化ビニルライニング鋼管 | 20年〜25年 | 築20年以上のマンションで広く採用。管の継手部分から錆コブが発生しやすい傾向があります。 |
| 銅管(主に給湯管) | 15年〜20年 | 築20年以上のマンションの給湯管に多用。ピンホール(小さな穴)による漏水リスクがあります。 |
| 架橋ポリエチレン管 / 聚ブテン管 | 30年以上 | 現在の新築や改修工事で主流の樹脂製管。サビや腐食に非常に強く、耐久性に優れています。 |
専有部配管の工事費用と工事方法
配管工事の主な方法(更新と更生)
専有部の配管工事には、大きく分けて「更新工事(全交換)」と「更生工事(ライニング補修)」の2種類の工法があります。
① 更新工事(引き直し工事)
既存の古い配管を撤去し、あるいは迂回させて、サビに強く耐久性の高い「架橋ポリエチレン管」などの新しい樹脂管へ全面的にやり替える工事です。配管が根本から新しくなるため、最も確実で長期的な安心が得られます。
② 更生工事(塗膜補修)
既存配管の内側のサビを取り除き、塗料(エポキシ樹脂など)を塗布してコーティングする補修工事です。配管の管厚が薄くなりすぎている場合や銅管・樹脂管には施工できないといった制約があります。
専有部においては、将来的な漏水リスクを根本的に解決できる「更新工事(全交換)」を実施するのが現在では一般的となっています。
工事費用の目安(配管費用+内装復旧費)
配管の更新工事費用は、施工範囲や間取りにもよりますが配管作業自体で30万円前後がひとつの目安です。
ただし、マンションの専有部配管は各部屋の床下や壁裏に埋設されているため、工事の際は床や壁を一度解体し、施工後に元通りにする「内装復旧費用」が必要となります。内装工事を含めたトータルの費用感としては、50万円〜100万円ほどになるケースが多く見られます。
マンションならではの配管工事における注意点
戸建て住宅とは異なり、マンションで専有部の配管工事を行う際には、集合住宅特有の注意点がいくつか存在します。
① スラブ下配管(下階の天井裏を通る構造)のリスク
築年数の古いマンションでは、自室の床下配管が「下階のお部屋の天井裏」を通っている構造(スラブ下配管)があります。この場合、工事のために下階住人の承諾や室内への立入が必要となり、施工が複雑化して費用が増加するケースがあります。
② 管理組合への事前申請と規約の遵守
専有部の工事であっても、床や壁の解体を伴う施工の際は事前に管理組合へ「専有部分修繕等工事申請書」を提出し、承認を得る必要があります。申請から承認まで1ヶ月ほどかかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュール作成が必要です。
③ 一時断水や騒音など近隣住民への配慮
工事期間中は自室の断水だけでなく、工事音や振動が発生するため、上下左右の近隣住戸への挨拶や事前告知が欠かせません。
【まとめ】マンション専有部の給水管メンテナンスは計画的に進めましょう
マンションの専有部における給水管・給湯管は所有者個人の財産であり、維持管理やトラブル発生時の修繕費・賠償費は自己負担が原則です。老朽化した配管による漏水は自室のみならず下階の住人へも影響を及ぼすため、築20年を超えたタイミングで点検や更新を計画することをおすすめします。
「築年数が経っており漏水が心配」「水回りのリフォームに合わせて配管も全交換したい」とお考えの方は、給排水設備工事の専門会社であるサンコウ設備へご相談ください。現場経験豊富なスタッフが、住まいの状況に合わせた適切な施工方法をご提案いたします。
マンション専有部の給水設備に関するよくある質問
Q 専有部の漏水で下階に被害を与えてしまった場合、費用負担はどうなりますか?
原因が自室の専有部配管にある場合、原則として上階の所有者が賠償責任を負います。ただし、火災保険の「個人賠償責任特約」に加入していれば、下階の復旧費用や被害物の補償が保険から支払われるケースが多いです。
Q 専有部の給水管更新工事にはどれくらいの工期がかかりますか?
配管の引き直し工事自体は1〜3日程度で完了することが一般的です。ただし、床や壁の解体・内装復旧(クロスやフローリングの張り替え)を含めると、全体で数日〜1週間程度の期間が必要となります。
Q 専有部の配管工事を行うにあたり、管理組合への申請は必要ですか?
はい、必要です。マンションの管理規約により、専有部であっても床下や壁内の解体を伴う工事を行う際は、事前に管理組合へ「専有部分修繕等工事申請書」を提出し、承認を得る義務があります。騒音や一時断水が発生するため、着工前の申請手続きを忘れずに行いましょう。

平成7年の設立以来、30年にわたり給排水設備を中心としたインフラ工事に携わる。これまでに30,000件以上の工事実績を持ち、現場で積み上げた確かなノウハウが強み。
大手建築会社などの仲介業者を通さず、自社で直接ご提案から施工までを行う「工事直販」のスタイルにこだわり、多くの管理組合様やビルオーナー様から厚い信頼を寄せていただいている。




















